ぼくのだいすきなおねえさん【桃】 (ページ12)

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『あー、どこも混んでんなぁ』

さっきから、昼食を食べようと色んなとこを回っているけど、どこも満席で思わず溢れた独り言。

もー！勘弁してくれや……
こちとら午前中頭使いすぎて糖分足りてないねんて。
OLらしくかわいくパンケーキとか食べたいやん？

数分後に待ち受ける事件にも気付かない過去の私は呑気にそんなことばかりを考えていた。

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『もう昼時には絶対行かん……… 』

諦めてトボトボとコンビニにでも寄ろうと足を進めた、そんな矢先。

…………こんなこと、誰も予想していなかっただろう。

突然背中にドンッと衝撃が走った。

え、刺された？通り魔？私死ぬんか？男も居らんまま死ぬんか？

……………違う。

背中に温もりと重圧感を感じる。

一瞬思考が停止して、お腹に回された手をあわあわと眺めていると、
私より背の高いであろうその人は耳元でこう言った。

＿＿＿＿＿＿やっと会えた、やった

『え』

聞き覚えのないその声に、回された腕を掴み首だけ後ろに回して、相手を確認すると………

「迎えに来たで、Aさん」

『っなんで、名前…… 』

いやいやいやいや分からん分からん。
誰？？？？？

モデルさんとか？？？？
新手のナンパ？？？？？
スカウトとか？？？？

いずれにせよ、もう少しやり方あったよね？？？？

「え、そんな明らか怪しい目で見ることあります？？

………って！！今ちょっと距離離したやろ！！！」

『人違いなんで……… 』

「俺がAさんと他の人間違えるわけないやん！！！」

『やったら………ストーカー！！？』

「なんでそうなるん！！？」

そんなくだらないやり取りを数分。
お互いつい熱くなって息切れしてしまう。

…………わっ、もうこんな時間。
まずい、淳太さんに怒られてまう！！

『どこの誰だか知りませんけど、お帰りください！』

何とか腕を解いて、そそくさと逃げようと思った。

「あかん！！！！」

けれどそんなこと許されるはずもなく、呆気なく腕を取られる。

ああああ、遅刻するやんか！！！！もう！！！
遅れたら淳太さん鬼怖いねんで！！やめて！！！
こちとらお昼ご飯も食べれてへんからただでさえイライラしてんねんて！！！

「ちょほんまに待って下さいよっ！！
お、俺、小瀧望っ！！

のんちゃんやって！！！Aさんが呼んでくれたんやんか！」

『のん、ちゃん？』

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