君のいない夏。 -EXO短編集- (ページ5)

今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:42,931 hit

5 ページ5

・

そして夜。
急いで買ってきた花火をやることにした。

私はろうそくに火をつける。

『あっち…！！』

ライターが上手く使えなくて手に火が当たった。

『馬鹿だな私。』

いつもベクがやっててくれた仕事。
本当は大変なんだな。

私が火をつけるに苦戦していると
後ろから人が歩いてくる音がした。

CY「花火？俺も混ぜてよ。」

チャニョルだ。

『嫌だ。１人でやる。』

チャニョルは明らかに友達と遊んできた帰り。
という感じだった。

CY「何で？」

『チャニョルには分からないよ。』

するとチャニョルは自分持っていたビニール袋から何か取り出した。
それを見て私は驚いた。

CY「俺も買ってきちゃった。花火。」

チャニョルはニコッと笑った。

『チャニョル…』

CY「花火をしないと夏は終われないよな～
　ちょっと俺にライター貸しな？」

私はチャニョルにライターを渡した。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

私は火のついた花火をチャニョルから受け取る。
いつものベクの役割をチャニョルがやっているのだ。

CY「やっぱり綺麗だよな。」

『うん。』

黄色に輝く花火があった。

『これ…CY「ベクみたい」』

私たちはハモった。

『同じこと思ってたんだ。』

CY「幼なじみだしな笑」

時間はあっという間にすぎる。

そして最後の線香花火。

『チャニョル落ち着きがないから
　すぐ終わるでしょ？』

片手に線香花火を持ちながら言う。

CY「静かにしろ。
　今、集中してる。

　あぁ！！」

『ほら～落ちた。』

残るは私の線香花火のみ。

CY「ベク。これ上手かったよな。」

急にチャニョルが言い出す。

『ちょ…集中してるんだから。』

CY「Aも話しかけてきただろ！！」

ベク。

私は、

いや

私も

ベクのことが…

『あっ』

線香花火は落ちた。

CY「残念だな…ってA？」

私の目には涙が溢れていた。

CY「どうしたんだよ？」

もうベクを思い出す時間は終わったんだ。

『何でもない…』

CY「馬鹿。何でもないなら泣かないだろ？」

『チャニョル…私…

　ベクのことが好きだった。』