君のいない夏。 -EXO短編集- (ページ13)

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『もしもし』

私がそう言うと少し無言の時間が続いたあと

LH「…もしもし……」

ルハン君がしゃべった。

すると急にルハン君の泣く声が聞こえた。

『ルハン君？』

LH「ごめん。

　俺らは前から出会ってた。

　俺らは付き合ってた。」

ルハン君…。

『落ち着いて話して？』

LH「Aが記憶喪失になったのは
　

　俺の家に向かう途中に乗っていたタクシーで事故にあったからなんだ。

　あのとき俺はAが来るのをただ家で待っていた。
　俺が迎えに行ってれば…。

　俺と付き合ってなければ…。」

ルハン君は全て話してくれた。

『ねぇ。

　今、とてもアイスが食べたい気分。』

私が急に話を変えた。

LH「アイス？」

『うん。

　もちろんソーダ味のボリボリ君ね。

　買ってうちまで持ってきてよ。

　"るぅ"。』

私は彼をるぅと呼んだ。

LH「A？

　今なんて…」

『るぅ。

　るぅと今すぐ会いたい。』

るぅ。

それは私がいつも彼を呼ぶときの呼び方。

LH「思い出したの？」

『ううん。
　まだ全部じゃない。

　私はるぅの彼女で
　私はソーダのアイスが好きで
　るぅはコーラのアイスが好き。

　ただそれだけ。
　

　ねぇ。だからもっとるぅの話を聞かせて？
　ゆっくりでも思い出せる気がするから。』

LH「今から行く…！！」

そして電話は切れた。

るぅ。

つらい思いをさせたね。
それでも私の横にいてくれてありがとう。

残りの夏は2人で笑って過ごしたい。

だから今までのように

これからも私から

逃げないで。

fin

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