君のいない夏。 -EXO短編集- (ページ2)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:42,922 hit

2 ページ2

・

チャニョル、ベク。そして私。
私たちは幼なじみ。
私の家を挟んでチャニョルとベクの家がある。

私たちは小中高とずっと一緒だった。

私たちの夏のお決まりといえば
手持ち花火をすることだった。

去年の夏だって…。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

CY「さ。花火を始めよう！！」

私は花火を袋から取り出した。

するとベクはろうそくに火をつけ始める。
そして花火にその火をつけて私に渡してきた。

BH「はいよ。」

『ありがと。』

ベクはあまり花火をやらない。
どちらかというと、火をつけてくれる係ばかりで
実際花火を楽しんでいるのはチャニョルと私だった。

私が花火に夢中になっていると
チャニョルが急に叫んだ。

CY「あ！！あっち！！」

どうやら花火を落として
サンダルを履いていた足に当たったらしい。

BH「馬鹿じゃん。」

ベクが笑った。

『早く水で冷やさなきゃ痕になるよ～』

私がそういうとチャニョルは家に戻った。

BH「本当に馬鹿だよな～。チャニョルは(笑)」

私に花火を渡しながらベクが言う。

『そこが良いところでもあるけどね。
　ベクも花火やりなよ。』

ベクは"じゃあやるか"と言って
自分の花火に火をつけた。

BH「A。」

『ん？』

急に真剣な顔のベク。

BH「俺ら小中高ってずっと一緒だけどさ。
　これからもそうとは限らないじゃん？」

『…そうだね。』

さすがに職場まで同じにできない。
すでにベクには小説家の夢がある。

BH「もしこれから俺らが離れても

　花火が輝く時間だけは、
　俺のことを思い出してくれない？

　きっとまた会えるはずだから。」

『何それ。新しい小説のネタ？
　それにまだ高2だよ？
　何か来年のほうが良いセリフじゃない？』

あまりにベクが悲しい顔をするから
余計なところにつっこんだ。

BH「アハハ。そうだよね。ごめん。」

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

その年の冬。
ベクは急に倒れてこの世を去った。