12ヵ月《 橙 × 青 》

● ページ23

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｢…ただいま｣





いつも通りドアを開ける



"おかえり"その言葉は返ってこない。







全部、夢ならええのに。


いや、ドッキリ？
みんなでボクのこと騙そおもうてるん？





そんな気休めにしかならない
現実逃避をしながら


章ちゃんのクローゼットを開ける





色とりどりの洋服の中から



章ちゃんの匂いがして





自然と涙がこぼれた。





｢どうして…


どうして、章ちゃんなん！


なんで…！！｣





章ちゃんの洋服に顔を埋めながら

誰にも届かない声で叫ぶ






泣くのは俺やない。

章ちゃんがあんなに、強いんや。

ボクが、支えんでどーする。





わかってる




それでも、この理不尽な世界で
ボクはそんな強くおられんの…






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大きなバッグの中に

章ちゃんの3日分の荷物を詰め込んでいく




お揃いのTシャツに
『素材がたまらんの』
っていってた部屋着のハーフパンツ



お揃いのコップに歯ブラシに



…





全てを詰め終わる頃には
だいぶ時間が経っていた。






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家の鍵を閉めて

大きく息を吐く。





ボクは、これから、向き合っていけるんやろか。









いつか章ちゃんがゆうてた





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"いつか絶対、隆ちゃんの重荷になる…
隆ちゃんは優しいから
絶対 僕のこと捨てられなくて
しんどくなる時がくる！！

…隆ちゃんの、重荷になりたくないねん…"




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あの時は、意味のわからなかったこの言葉




章ちゃんは、この未来を、予想していた？








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涙が零れないように見上げると


夕暮れがそっと空を染めていく。





そして目に溜まった涙を風がさらっていった。









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