俺がテニス教えてあげる ページ5
二十分のランニングをして、その後ラリーを始めた。
その間、幸村だけは追加でランニングをする。彼いわく、体力が低下してしまったので体力強化に努めるということらしい。
退院した彼はこの四日間で一年、二年とそれぞれ軽い試合をワンゲームずつして、それに全勝していた。
感は鈍っていなかったのだ。なんなら赤也にも勝っていたので、本当に後は体力次第なのである。
綾瀬はそのあまりの圧倒差にビビり散らかしたものだ。
純粋にう…そっだろ……と感想を口から零していた。
そりゃあ彼の放つたった一言で周りが静かになるもんだ。こりゃたまげたとなったのだ。
テニスは無理だろう…と言った医者に言ってやりたい、お前が相手してたのは誰様神様神の子様テニス界の貴公子幸村精市であるぞと。
本人が自分のことをカッコイイよ。と宣っていたのも頷けるほどのテニスセンス。この才能を神が病という形で奪おうとしていたのか馬鹿じゃないか？と、そんなことやられて溜まるかという程のテニスに愛されし絶巧な技術を持っていて綾瀬は脱帽したものだ。
｢綾瀬！｣
ランニングを終えたらしい幸村が綾瀬を呼んだ。
綾瀬は振り返りながらどうしたのかと幸村の元へ向かう。
｢マネージャー業務はあと何が残ってる？｣
｢記録も書いたし後は何か呼ばれない限りボール拾いとかの雑用をしようと考えてるよ｣
｢じゃあ暇なわけだね。俺と打ち合いしようよ｣
｢え！？本気で言ってるのかい？｣
｢うん、当たり前じゃない。自分が言ったこと忘れちゃったのかい？｣
｢俺が言ったこと？｣
｢俺にテニス教えてよ。だろ？｣
そうだ、確かに言った。戻ってきたらテニスを教えて欲しいと。その約束を彼は守ろうとしているのだ。
｢覚えてたんだ…｣
｢当たり前だろ、忘れなかったよリハビリ中もね｣
｢でも全国前の忙しい時期に俺にかまけてていいのかい？｣
｢かまけてる訳じゃ無いさ、これも練習の一環だから、つべこべ言わないでさっさとコートに立ってよ。俺が一からコーチしてあげる。綾瀬が言ったことだからね、後悔しても遅いよ｣
ニヤリと笑った幸村が綾瀬に向かってラケットを投げて寄越す。最後のセリフのせいで綾瀬はビクビクしながらコートに立った。
｢俺がテニス教えてあげる｣
命だけは助かりますように……。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
墺士(プロフ) - ふれあさん» コメントありがとうございます！ゆっくり更新ですが、気ままにお待ちください！ (5月1日 18時) (
レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
ふれあ(プロフ) - 毎日の楽しみになってます！更新大変でしょうが頑張ってください！待ってます(*^^*) (4月11日 3時) (レス) id: eb7563639c (このIDを非表示/違反報告)
墺士(プロフ) - ぱーぷる姫さん» コメントありがとうございます！！続き投稿遅くなっておりますが気長にお待ちください😣 (2月20日 22時) (レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - 全部一気に1日で読んでしまいました。続きを心の底からお待ちしてます！ (2月15日 20時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
墺士(プロフ) - ゆーき。さん» 挨拶ありがとうございます。あけましておめでとうございます。私の読者の皆様には道を踏み外してほしく無く、意見を出させて頂きました。特に誹謗中傷があったわけではありませんので深く考えず、このまま応援してくださると嬉しいです😊♥️ (1月15日 17時) (レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：墺士 | 作成日時：2024年1月6日 19時
