夜風 ページ23
湯船に浸かって数分、先程のことを思い出して頭を押えた。
いやいや……他校はノーカンだよね……。
流石に……。
だって絶対怒られる、言いたくない……。
自分だって柳を完璧に信用している訳では無いのだ、申し訳ないが。
脳内に不二と跡部の顔が浮かんで頭を振る。
いやいやいや、他校だし。うん。
平気平気。
カラスの行水で風呂から上がる。
合宿も終わりで明後日からまた日常へ戻る。全国大会まで後少し。
ようやくやっとここまで来たのだ、これ以上自分が女だとバレてしまう訳にはいかない、数秒瞑目して気合を入れる。ヨシっとつぶやいてロビーへ向かった。
ロビー外のテラスで夜風にあたる人物を見つけて綾瀬は声をかけた。
｢ブン太、何してるんだい？｣
｢おわ！A！｣
｢驚きすぎだよ｣
｢考え事してたからよぃ、マジビビらせんなってぇ〜｣
｢なに？悩み事かい？｣
｢んー、まぁ……そんなとこ｣
歯切れが悪いがどこか楽しそうな雰囲気で丸井は返事を返した。
｢俺に相談出来ないこと？｣
｢え？｣
｢……前も君は悩んでて、俺が声をかけたら……別にって返事したんだ。覚えてる？｣
｢いや、全然｣
｢そっか｣
県大会直前のあの日自分は丸井に嫌われているんじゃないかと察したのだ。夏の夜風が二人の髪の毛をさわさわ揺らした。
｢じゃあ俺は戻るから、ブン太も早く寝るんだよ｣
｢待って！｣
思わず口をついて出てきた引き止めの言葉に丸井自身も驚いて瞠目する。綾瀬は足を止めて丸井へと向き直った。
｢や…整理してたんだ。この半月位のこと｣
｢整理？｣
｢そう。幸村くんが無事に戻ってきてくれて良かったな。とか、色々あったけど、Aと仲良くなれて良かったな…とか……さ……｣
丸井はチラチラ緊張気味に綾瀬の顔を見て意を決したように顔を上げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
墺士(プロフ) - ふれあさん» コメントありがとうございます！ゆっくり更新ですが、気ままにお待ちください！ (5月1日 18時) (
レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
ふれあ(プロフ) - 毎日の楽しみになってます！更新大変でしょうが頑張ってください！待ってます(*^^*) (4月11日 3時) (レス) id: eb7563639c (このIDを非表示/違反報告)
墺士(プロフ) - ぱーぷる姫さん» コメントありがとうございます！！続き投稿遅くなっておりますが気長にお待ちください😣 (2月20日 22時) (レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - 全部一気に1日で読んでしまいました。続きを心の底からお待ちしてます！ (2月15日 20時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
墺士(プロフ) - ゆーき。さん» 挨拶ありがとうございます。あけましておめでとうございます。私の読者の皆様には道を踏み外してほしく無く、意見を出させて頂きました。特に誹謗中傷があったわけではありませんので深く考えず、このまま応援してくださると嬉しいです😊♥️ (1月15日 17時) (レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：墺士 | 作成日時：2024年1月6日 19時
