臍を噛む ページ21
｢じゃあ俺はもう上がるぞ｣
我先にと浴場から退出しようとするのは真田だった。
｢え！真田上がっちゃうのかい？｣
｢……くだらん。俺は十分温まった｣
｢へぇ…いいんだ？｣
真田は幸村の言葉にフンと鼻を鳴らしてから浴場から出ていった。
｢意気地無し…｣
幸村は小さく呟いて湯船に鼻まで浸かってぶくぶく音を立てた。お前のために一肌脱いだのに。ホントに諦めてしまうつもりなのだろうか。弦一郎くんらしくない。
そう思いながらザバッと顔を湯船から上げた。
｢柳先輩とA先輩、二人だけで何話してるんすかね｣
｢んだろうな？ペンション退去時の注意事項とかだろぃ｣
｢えー、それなら俺たちにも話してくれたらいいのに｣
残っているメンバーで不毛な話をダラダラ始めたのを今まで黙って見ていた仁王がアヒルで遊びながら口を開いた。
｢二人きりでよろしくしとったりしてな｣
二体のアヒルを持った仁王がそのアヒルの嘴と嘴をチュッとくっ付けた。さらに｢アイツら仲ええし｣と付け加えれば赤也と幸村はサッと顔色を変えた。
片や赤く、片や青く。
仁王が｢ピヨピヨ〜｣と態とらしく鳴けば、幸村と赤也は湯船から勢いよく立ち上がって興奮気味に幸村が｢行くよ！赤也！｣と野次馬根性で言い、それに｢ハイっす！ぶちょ〜！｣と赤也が返事を返す。
慌てた様子で浴場から出ていった二人の背中を残った全員で見つめて柳生がため息を吐いた。
｢仁王くん、巫山戯たことを言うのはやめたまえ｣
｢プリ｣
｢幸村くんが信じてしまうでしょう｣
｢赤也より幸村の心配か｣
｢違います。綾瀬くんの心配です｣
｢……｣
柳生の言葉に仁王は舌を巻いて臍を噛んだ。
苦虫を噛み潰したような顔をすると仁王も二人の後を追うように浴場から出て行こうとしたが、浴場に残っていた全員湯船から立ち上がり、全員で幸村の後を追って綾瀬の部屋まで急いだ。
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墺士(プロフ) - ふれあさん» コメントありがとうございます！ゆっくり更新ですが、気ままにお待ちください！ (5月1日 18時) (
レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
ふれあ(プロフ) - 毎日の楽しみになってます！更新大変でしょうが頑張ってください！待ってます(*^^*) (4月11日 3時) (レス) id: eb7563639c (このIDを非表示/違反報告)
墺士(プロフ) - ぱーぷる姫さん» コメントありがとうございます！！続き投稿遅くなっておりますが気長にお待ちください😣 (2月20日 22時) (レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - 全部一気に1日で読んでしまいました。続きを心の底からお待ちしてます！ (2月15日 20時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
墺士(プロフ) - ゆーき。さん» 挨拶ありがとうございます。あけましておめでとうございます。私の読者の皆様には道を踏み外してほしく無く、意見を出させて頂きました。特に誹謗中傷があったわけではありませんので深く考えず、このまま応援してくださると嬉しいです😊♥️ (1月15日 17時) (レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：墺士 | 作成日時：2024年1月6日 19時
