2-㊺ ページ45
タカ丸の口の端には、先程凪彦が孫兵に借りた紅の蘇芳色が付着していた。
｢唇を避けたから安心してよ｣
｢でも、僕はビックリしちゃったよ…｣
｢お前が悪いんだぞ、あんな女の一人や二人……十人くらい躱せんでどうする｣
｢言い訳のしようもございません…｣
｢別にお前一人だったら私だって見て見ぬふりするが、今回は三年生の実習って名目なんだから時間を無駄にするなよ。全く｣
マコが可哀想だろ。と言いながら凪彦は手拭いで紅を拭って懐に直し、指をパチンと鳴らせてタカ丸に髪を結い直させていた。
｢見て見ぬふりは酷いよ〜！マコちゃんもごめんね……｣
｢いえ、別に気にしてません｣
｢お前、みっともないからその口紅早く拭いとけよ｣
｢えー！みっともないってぇ…｣
｢本当はするつもり無かったんだが、距離感を見誤ってな、悪いな｣
あっという間に男装に戻った凪彦はフッと困った顔で笑い、タカ丸の肩を軽く叩いた。
｢ほら、団子全員分奢れよ？｣
凪彦はそう言うと口紅を拭っていたタカ丸を連れて店内に入った。
｢私は餡団子がいいな｣
｢じゃあ僕はみたらしと菜饅頭にしようかな｣
昼も過ぎて二時間拘束されていたタカ丸はお腹が空いているらしく惣菜饅頭も一緒に頼んだ。団子は注文してから焼き始めるらしく少し待つことになった。
｢またなんであんなに群がられてたんだ？｣
｢いや〜それがさぁ。家に寄った後マコちゃんの御髪が乱れてたから結ってあげたんだけど、それを常連さんに見つかっちゃってね。何人かに髪結いしてたら何故かあんな感じに……助けてくれてありがとう凪彦くん｣
｢まぁ……別に良いですけど…｣
凪彦は照れくさそうに目線を逸らした。タカ丸はあ､やっぱり照れ屋さんなんだ。と以前三郎に謝っていた時手をモジモジさせていたのを見て思ったので、今日また素っ気なく照れているのを見て確信した。
｢だからお金はあるよ！｣
｢あー、ハイハイ｣
小銭を稼いだ、というタカ丸に適当に返事をして、三年生の元へ帰ろうとした二人は足を止めた。
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墺士(プロフ) - 夜ながながさん» コメントありがとうございます！応援よろしくお願いします🤍 (12月11日 13時) (
レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
夜ながなが(プロフ) - 続編おめでとうございます！そしてありがとうございます！とても大好きな作品です🫶🏻💖これからも応援しています！ (12月11日 12時) (レス) id: ebecf52502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：墺士 | 作成日時：2023年12月11日 10時
