2-㊵ ページ40
三之助は海老天を箸で挟んで持ち上げた。
｢凪彦先輩っていつもあんな感じなんですか……？｣
三年生の中で凪彦と関わりがあるのは去年同じ委員会の神崎左門だけでそれ以外の三年生はほとんど凪彦のことを知らなかった。合同授業や学園長の突然の思いつき以外では関わりが薄かったのだ。
｢あんな感じだ、あんな感じ｣
｢でも最近それが増した気はするよね｣
三之助への質問に同じ委員会の先輩である滝夜叉丸が適当に答えて、そういえばと喜八郎が付け足した。
｢だって、聞きました？愛いな…ですって｣
海老天をもぐもぐさせながら三之助は長い髪の毛を手で梳く。
｢愛いなとかいいます？愛いなとか。信じられませんよ｣
まず俺たち男だし。と気に食わなそうに三之助は告げた。それに作兵衛が苦笑いをし、左門は笑顔を作った。
｢私は嬉しいぞ！後輩として可愛がってもらえる間は可愛がられればいいと思う！三之助に対してはちょっと意地悪をしていたがあぁ見えて人に甘いからな｣
左門は自慢げにそう言う。
｢人に甘いねぇ〜、じゃああんな意地悪しないで欲しいけど…｣
｢意地悪ったってサンゴ、お前があまりにも忍術を使わんからやられたんじゃないか？｣
｢三木兄もそんなこと言う〜…｣
｢事実じゃないか｣
実技の一環だろ。と三木ヱ門が三之助を小突いた。
｢そういう奴なんだよ、凪彦は｣
やれやれと三木ヱ門はため息を吐きながら呟く。作兵衛は三之助のぶつくさした仕草にはは…と申し訳なさそうに笑い、そういや藤内はなんであんなに機嫌が悪くなっちゃったんだろうと考えていた。
うどんを食べ終えた左門と滝夜叉丸が席を立った。
｢我々はもう行くぞ｣
｢ではな！｣
左門が手を振る。
滝夜叉丸が店員を呼んで、お勘定を済まそうとして｢なにぃ！？｣と叫ぶ。
｢やかましいぞ滝夜叉丸｣
｢凪彦の奴……っ｣
｢どうしたのさ滝夜叉丸〜｣
｢凪彦が……全員分の勘定を払っていったらしい…｣
滝夜叉丸がそう言うと全員が驚いた顔をした。飛んだカッコつけ野郎だなと三之助は思った。
｢ほんと、ヤな奴｣
一人、喜八郎だけが不貞腐れたようにそう小さく呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
墺士(プロフ) - 夜ながながさん» コメントありがとうございます！応援よろしくお願いします🤍 (12月11日 13時) (
レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
夜ながなが(プロフ) - 続編おめでとうございます！そしてありがとうございます！とても大好きな作品です🫶🏻💖これからも応援しています！ (12月11日 12時) (レス) id: ebecf52502 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：墺士 | 作成日時：2023年12月11日 10時
