2-�� ページ20
凪彦は変な汗を顳顬から流して困った顔をした。そして自分の軽率な発言を呪った。
だってこの場には他の学年も居るのだ。なんなら先程から同じ学級委員長委員会の二人からの視線が痛いほど突き刺さっている。この場で上級生である五年を褒めようとも六年を褒めようとも、二人のどちらかを選んだとしても争いは免れないだろうと思う。
凪彦は育った環境のせいでどちらかと言えば面食いであるので、ある程度顔が整っていれば悪くないな(売れる顔だな)と思うだけなのだ。
三郎との会話で滝夜叉丸を選んだのも下まつ毛が一番長かったからであるし…。
｢喧嘩するから言わない｣
｢｢しない！絶対しない！｣｣
｢嘘だな｣
｢誓ってしない、輪子にかけて｣
｢私もだ、ユリコにかけて｣
｢ホントにぃ〜？信じられないなぁ｣
二人がさすがアイドルという顔で瞳をうるうるさせて上目遣いで凪彦を見つめる。
やめてくれよ、お前たちは顔が綺麗なんだから…。
｢絶対喧嘩しないんだな？｣
｢｢あぁ！｣｣
なら、と言って凪彦は二人の顔をしげしげと観察する振りをした。だって三年は見ているのだ、この顔は見なれている。
二人とも整っているし、まつ毛は長いし、綺麗な顔だ。どちらかを決めろだなんて酷な話だった。
｢そうだな、三木ヱ門かな｣
凪彦は無慈悲にそう告げた。
滝夜叉丸は吃驚して目を見開き眉根を寄せる。三木ヱ門は花が咲くかのようにパァアと笑顔になった。
｢ほら！ほら！言っただろ！！滝夜叉丸！！｣
｢えぇい！うるさいうるさーーい！これは何かの間違いだ！！きっと本当は私の方が好きな顔だが、本当のことを言うとお前が可哀想だと思って嘘をついたに決まっているだろう！｣
｢なにぃ！？凪彦本人が言ってるんだぞ！負けを認めろ滝夜叉丸！！｣
またもやいやい言い始めた二人を見て凪彦は口を開いた。
｢ほら、喧嘩をするだろう？今言ったことは嘘だよ｣
｢｢………あ…｣｣
｢君たちの顔に優劣なんて付けないよ｣
｢し、しかし…｣
｢凪彦ぉ……｣
二人はガックリと肩を落として唇を尖らせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
墺士(プロフ) - 夜ながながさん» コメントありがとうございます！応援よろしくお願いします🤍 (12月11日 13時) (
レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
夜ながなが(プロフ) - 続編おめでとうございます！そしてありがとうございます！とても大好きな作品です🫶🏻💖これからも応援しています！ (12月11日 12時) (レス) id: ebecf52502 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：墺士 | 作成日時：2023年12月11日 10時
