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「妬けた」なんて、ストレートに気持ちをぶつけてくることに『すごいな』なんて他人事のように驚いてしまう。
『宮くんじゃ、分かりにくいねって話になったの。だから、治くんって呼ぶことになったの。そのままの流れで、私のことも下の名前でってことになったんだよ。』
過程を説明したが、侑くんはやはり不機嫌そうにしている。まるで、小さな子供みたいだ。
しかし今更、『やっぱり呼び方を宮くんに戻そう』というのもおかしな話だ。
『侑くん、どうしてほしいの?』
「俺と付き合って!」
抜かりなく告白してくる侑くんに驚きつつも、丁重にお断りをする。
侑くんは、また口を尖らせ不機嫌そうにしたが、急に何か思いついたように勢いよく顔を上げ、キラキラと輝かせた瞳で私を見つめた。
「お互いのインハイ予選終わったら、俺とデートしてほしい。」
デート。その単語に、少しだけ反応してしまう。
私の中のデートは、交際している間柄や、いわゆる両片思いという間柄の人たちで行われるものだ。
『いいよ。』
侑くんが、前のめりになりながら嬉しそうに「ほんま!?」と聞いてくるのにうなづくと、侑くんはより一層嬉しそうにした。
『けど、それはデートじゃないよ。2人で遊びに行くってだけ。』
「そこは、デートでええやん!ちょっとは夢見せてくれてもええんちゃう!?」
侑くんは、少し残念そうにしながらも、いつもの調子でツッコんできた。そこからは、いつも通り、いつも以上に騒がしい侑くんに戻り、教室に戻る時には鼻歌なんて歌っていた。
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作者名:吉田 | 作成日時:2024年3月25日 19時