また振られたんだって。【HQ】 (ページ6)

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「Aちゃん、はよ飯食お！」

春休みの始まりを告げる鐘が鳴って間もなく、教室のドアが荒々しく開かれ、侑くんの大きすぎる声が教室中に響く。
しかしそんな騒がしい侑くんに、クラスメイトは驚くことなく、当たり前の光景として流していた。

毎週火曜日、侑くんと一緒に昼食を食べる。毎日一緒に食べることを断り続けていたが、毎週火曜日だけという条件で涙目になりながら説得してくる侑くんに負けたことから始まった。
1年の夏頃から始まったが、毎週欠かすことなく続いている。

「ツム、毎週飽きずによう来るな。Aさんが可哀想やわ。」

「あ゛！？何言ってんねん、サム！てか、何でAさん呼びなん！」

治くんが突っかかったかと思えば、今にも双子乱闘が始まってしまいそうだ。
治くんは侑くんに比べて大人しいと思っていたけど撤回。同じ遺伝子だ。

「もう、やめなよ。早く行こう、時間なくなっちゃうよ。治くんも、早く食べなよ。」

いつも一緒に食べている子に断りを入れ、侑くんの手を引き、お弁当を片手にお馴染みの中庭へと向かう。
いつもならうるさいくらいに話し続けている侑くんが、今日は驚くほど静かだ。

「侑くん、どうしたの？すごく静かだけど。」

「______________なん？」

俯き気味の侑くんから発せられる声は、普段からは考えられない小さすぎる声で『え？』と聞き返す。

　「サムのこと、好きなん？」

瞳を不安に染めながら、躊躇いがちにそう聞く侑くんに、思わずまた『え？』と声が出ていた。