また振られたんだって。【HQ】 (ページ4)

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「おはよう、Aさん。」

いつも通り登校すると、前の席の宮くんがおにぎりを片手に挨拶をしてきた。進級して、約2ヶ月が経った今では当たり前になりつつある光景だ。

『おはよう、宮くん。今日も、おにぎり美味しそうだね。』

いつもと同じやり取りをしたかと思えば、宮くんは少し悪戯な笑みを浮かべる。

「Aさん、またツムに告られたんやって？」

思いがけない質問に、少し驚く。
ツム。宮くんの片割れである、宮侑くんのことだ。
普通、家族の恋愛事情なんて知りたくないではないのか。私は親の交際期の話を聞いていると、聞いてはいけないようなものを聞いている気分になってしまう。

『まぁ、うん。断ったけどね。』

「知っとる。アイツ、昨日えらい項垂れとったから。ツムの玉砕記録更新って噂にもなってたしな。」

噂に関しては、1年の頃から侑くんが告白するたびに流れていて、私自身の耳にも入るほど大きなものになっていた。今回も噂になっているのか、と思うと少し憂鬱な気分になった。

「Aさんは、ツムのこと嫌いじゃないん？アイツ、しつこいやん。」

しかし、宮くんが突拍子もないことを言うから、そんな気分は飛んでいっていた。
嫌いなのか？なんてここまでストレートに聞かれたことは初めてだ。

『嫌いなわけじゃないよ。むしろ、友達としては好きだし。侑くんには、感謝してるんだ。』