検索窓
今日:5 hit、昨日:25 hit、合計:10,334 hit

10 ページ11

「一緒帰ろう」そう言われて、いつもは1人の帰り道も、今日は隣に侑くんがいる。
帰り道とは言っても、お互い寮だから10分程度の距離。

ずっと喋り続けている侑くんに「そうなんだ。」なんて面白みにかける相槌をし続けた。そんな相槌にも侑くんは、楽しそうに今日あった出来事を話している。
侑くんの話を聞いてる頭の片隅で、歩道側を歩いていることや私の歩幅に合わせてくれてることに気づき、『侑くんって優しいな。』なんて思っていた。

「Aちゃん、なんか焦ってるん?インハイやから?」

突然そう聞く侑くんの表情は、さっきまでの笑顔ではなく、心配しているような顔だった。
部員の誰1人として、私が焦っていることに気づかなかったのに、侑くんが気づくなんて凄いななんて思った。

『焦ってるのバレちゃってた?去年の最後の大会、県予選決勝で負けたんだ。全国優勝候補なんて言われてたのに。毎日、そのことが頭に浮かんで焦ってるの。』

私は、重い空気にしたくなくて軽く笑いながら『情けないよね』なんて言う。
しかし、そんな私に対して侑くんは真剣な表情をして私を見つめていた。そんな侑くんには少し恐怖すら感じた。



  「思い出なんかいらん」



侑くんのその言葉を聞いた瞬間、腑に落ちたような、心に沁みたようなそんな気がした。

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

←09



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
167人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 稲荷崎 , 宮侑
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:吉田 | 作成日時:2024年3月25日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。