解禁 ページ11
「これから私のこと話すけど私の独り言だと思って聞いて欲しい」
流「うん」
「私、最初流星くんに話しかけた時バイトしてたって言ったけど本当はバイトしてない。普通の大学生で、親が化粧品会社を経営してるから流星くんが整ってるって分かった。最初は興味本位だったけど流星くんが"外見で判断される""顔だけで近づいてくる人もいる"から武装してるように私も親が社長だから、普通の人よりお金持ちってだけで近づいて来る人がいた。」
流星くんは何も言わずただただ聞いてくれてた
「だから、社長令嬢ってバレないように普通の大学に通って普通の大学生のフリをしてた。親には猛反対されたけどね笑それにね、私には婚約者が居る。」
その瞬間、流星くんは目を見開いた
「私がその事を知ったのは高校に入学してから。私の中でそんなの関係ないって思ってたけど、相手は父さんの同級生の子供ですごく強引な人だった。高校生の時、初めてお金じゃなくて私を見てくれる人が現れて私ほんとに嬉しかった。だけど、幸せだったのは一瞬で、婚約者が裏で手を回してて私たちは別れることを選ぶしか無かった。その時に、この人には逆らえないんだなって思って彼氏は作らないようにしてたの。」
「それから、わたしはぽっかり空いた穴を埋めるかのようにここの水族館の水槽の前でここで自由に泳ぐ魚を見つめることが増えて、それを見兼ねてかここのオーナーさんが合鍵くれて出入りできるようになったんだ。だから辛いこととかしんどい時よくここに来て誰も見ていない中で優雅に泳ぐ魚を見て元気をもらってたの。」
「だからここにも行き来ができるんだ笑これが全てかな」
そこまで言うと流星くんは水槽を見上げた
流「苦しかったよな。」
「え？」
流「ちいさな檻の中で生きるって苦しいよ。」
流星くんの言葉が私の中にスンと落ちてきた。
流「でもさ、こんな大きな水槽で泳ぐ魚たちのこと羨ましくなかったの？僕なら絶対恨んじゃうと思って」
あまりにもどストレートすぎて吹き出してしまった
流「笑うなよ！至って真剣だよ！」
「ごめん笑たしかに、最初はそう思ってたかも。でも、ここで泳ぐ彼らに罪は無いし、現にこの子達が幸せかなんてこの子達にしか分からないじゃん？もしかしたらこの子達にとってはここは狭い檻の中かもしれないって思ったら同情しちゃって」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なな | 作成日時：2023年9月20日 0時
