”強”テルくん教信者【花沢輝気】 (ページ30)

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30.懲らしめた!! ページ30

テルくんの表情は変わらない。

モブくんは知ってるのかな。律が超能力を身に付けたこと。そして暴走してること。

まあ私も律とすごく親しい訳でもないしなんなら自己紹介くらいしかしてないし、首突っ込むのもなあ。

足も松葉杖は無くなったけど完治はしてないし。

「ご丁寧に握手をどうも。僕は花沢輝気だ」

「よろしく」

テルくんの表情と声色が変わりぶわっとテルくんの超能力が律を押し倒した。
律は冷や汗をかいた状態ですこし足を折る。低い態勢の律をテルくんが見下ろす。

「立ってるのもやっとかな？若い若い」

楽しんだ様子のテルくんを見ながら私はそっちの方へ歩き出した。するとキャー！と女の子3人組の声が聞こえて突風が吹く。私も慌ててスカートを抑えた。

次の瞬間テルくんも焦りだしてなびくカツラを抑えるために律を握っていた手を離した。

律はそのテルくんの必死すぎる表情にも驚いたようで右手を前に出したまま固まった。

その異様すぎる光景を私はふっと鼻で笑った。
するとやっと我に返ったのか律が鞄を握りだして背中を向けて走り出した。

『あっちょっ律!!』

その後を追う気にもならなくて私はとりあえずテルくんの横についた。止んだ風と共にテルくんがため息をついた。

「すごくやなタイミングで風が来た…逃がしちゃったじゃないか」

『操られてたのかな。なんか違う気配がしたんだけど』

「まあいいか。それなりに懲らしめたし」

行こっかとテルくんが言ったので私も考えるのをやめて歩き出した。

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