”強”テルくん教信者【花沢輝気】 (ページ27)

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27.ふたりこのままページ27

ガバッと音がしそうなくらい強くて不器用なハグで私はやっと意識を取り戻した。

ジンジンと太ももが痛い。
私ほんとに刺したんだ。ボトリと手に握っていた石を落とした。

『テルくん？』

思ったよりカスカスな声が出て少し恥ずかしく思いながら私に抱きついているテルくんをみた。私の声にテルくんが息を吸った声で返事をしたように見えた。

「良かった…Aが、Aが」

「死んでしまうかと思った。人を、殺してしまうかと思った」

テルくんの背中に回そうとした私の手も動いている方の足も傷だらけで所々血が流れていた。髪も中途半端に切れていた。

それを見ただけで私が死に近付いていたんだって実感出来た。私死んじゃうかもしれなかった。

『ありがとう。止めてくれて、』

テルくんを傷付けた時、私死のうかなって思った。死んだ方がいいんじゃないのかなって。

『私ねずっと家族がコンプレックスだった。家族がいないこと。お母さんお父さんが事故で死んじゃっておばあちゃんにこの前会いに行ったら悪霊だって追い払われた』

テルくんが小さく相槌を打ってくれる。テルくんの事じゃないのにくるしそうだった。

『私って家族もいなくて望まれない子で義理両親からもウザったがれて、誰に誰のために、生きてんのかなって、』

「うん」

プツプツと涙で息を吸うのに言葉が切れる。はっきりとテルくんが相槌を打った。私の言葉を待ってくれてるみたいだった。

『でも分かった』

『テルくんのために生きる』

『テルくんが私を見ててくれるって言うから、テルくんのために生きるよ』

テルくんが鼻を啜って私はテルくんの背中にちゃんと腕を回した。テルくんは全身血だらけだった。