”強”テルくん教信者【花沢輝気】 (ページ3)

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3.愛は人に伝えてはいけないページ3

「ずっと前からムツミさんが好きでした!!!!!!!!付き合ってください!!!!!!!!」

『…』

目の前で勢いよく頭を下げて右手を私の方に差し出している男子。成績優秀それに足して喧嘩も強い、それに足してサッカー部部長。

有名な男の子だ。

「…、ムツミさん、？」

私が黙っていて気まづくなったのか男の子が顔を上げた。

『…私のことホントに好き？』

「え、？す、好きだけど」

『じゃあさ』

グイッと顔を近づけると顔を赤くする男の子。

『私のテルくんへの愛とどっちが大きい？』

・

花沢side

「う、うわぁぁぁぁあああああああああああぁぁぁ!!!!!!!!」

「ん？」

必死の形相で覚束無い手足を振り回して目の前の部屋から飛び出てきたのはサッカー部の部長の平山くん…だったっけな…。

「げ。もしかして…」

ガラガラとドアを開けると見慣れたボブが揺れた。
こっちを振り返って僕を認識するとぱあっと顔を明るくさせた。

「やっぱり…」

『テルくんんんんんん!!!!!!!!!!!』

持ち前の瞬発能力を発揮して僕に飛びついてきた。僕の首に手を回して軽い体重が僕に軽くのしかかった。

「さっきの子はAだよね？」

呆れながら聞けば僕の首に手を回したまま明るい声でAが返事をする。

『愛を確かめたら逃げてっちゃっただけ!!大丈夫!!私はテルくん大好きだから！』

「そろそろAも彼氏作ったら？何か変わるんじゃないかな。僕のことばっかじゃなくてさ。Aもモテるんだし」

『…ぇ？』

「え？」

いきなり静かになって僕の首から手を離してAが俯いている。

「えっと…A？」

『…だった？』

「ん？」

『私、迷惑だった？』

うるうるうるうるうるうる

今すぐにでも泣き出しそうに目をうるませて手を握りしめるA。

僕は息を吐いて小さく笑った。
握りしめたままのAの手を優しく包む。

手、小さいな。

「手そんなに握ると血が出ちゃうよ」

Aは僕のその顔を見て少しほっとした顔をした。

僕は泣きそうなAの顔に弱い。

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