幸せの上 ページ34
「A、リンゴここ置いとくで」
椿がコトンと皿の音を立てた。私がつぶっていた目を開ければいつものように目だけを細めた。
『…ありがたいけど私は全部食べれへんよ』
「残ったら捨てるとええわ。無理に食べても体に良くないし」
私は少し苦い顔をした。それまでも受け入れるかのように椿は優しくまた笑って鼻歌を歌いながら持ってきたのであろう花束を花瓶に移し始めた。
いつもこうだ。
椿はいつも、なんでも分かっているような感じを出して私に近づいてくる。
本当にわかっているのかわかってないのかは長い年月を友達として共にしても分からずじまいだった。
月に一度くらいの頻度でいきなり連絡をしてきて私が普段行かないようなキラキラしたショッピングモールに連れて行って
死ぬほど洋服を買って持たせて
私の分も馬鹿みたいに買って、
などはいつもの事。
私が嫌そうな顔をしても平気で量より質って感じのカフェに連れ込んで叔父貴の惚気を聞かせてくる。
お見舞いだって毎日のように来る。その度に花を持ってくるのだから病室が花だらけで
死んだ後の棺の中のような気分。
「ねええらい嫌な話してええ?」
『あ?』
椿が手元の花から目を離さずに行った。
「
『…来てへんけど』
私は椿の方を見ずに返した。相変わらずすごく不仲だ。
「はぁ〜ほんとないわ。やめときあんな男。ろくな奴じゃないこと分かっとるやろ」
『それ何回目や…腐るほど聞いたわ』
「会う度にはいわかったってAが頷かんかなって思っとるからな」
また椿が息をついて笑った。
『そんな簡単に頷けたら私、今頃幸せになってるわ』
でも頷かないから、叶った時きっと私はもしもの時より幸せになってるはずだと信じ続けている。
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えすめ(プロフ) - 桔梗さん» コメントありがとうございます♡♡♡♡いやいや、神作者だなんて、ほんとに恐れ多いです(>_<)💦コメントほんとに励みになります!!どうかこれからもこの作品をよろしくお願いします! (1月18日 23時) (レス) id: b5181500a7 (このIDを非表示/違反報告)
えすめ(プロフ) - 姫華さん» 返信遅れてしまい申し訳ございません(>_<)コメントありがとうございます!ノロマでゆっくりゆっくりの更新ですがどうかよろしくお願いします! (1月18日 23時) (レス) id: b5181500a7 (このIDを非表示/違反報告)
えすめ(プロフ) - みさん» 返信遅れてしまい申し訳ございません(>_<)コメントありがとうございます。本当に励みになっております。これからもゆっくりではありますが更新しますのでよろしくお願いします (1月18日 23時) (レス) id: b5181500a7 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - 稀に見る神作者様だ、、、 (1月16日 12時) (レス) @page42 id: 941a02d5aa (このIDを非表示/違反報告)
姫華(プロフ) - 面白すぎます😭🩷更新頑張ってください! (12月6日 20時) (レス) id: d9923ab57a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えすめ | 作成日時:2022年1月16日 23時