風呂場とライト【鳥葦翔真】

眼光 ページ28

｢翔真お前またガレージのリモコン持って行ったやろ置いて行け言うとるやろが｣

｢すんません｣

｢アンタほんま雑やな…｣


私も今すぐ翔真に抱き着きたい。でも今はダメだ。ルールだ。はしたないと怒られる。怒る人はもうここには居ないけど。


表情をニコニコと変えずに私は翔真のことも見ずに玄関を見ていた。そんな私を翔真はちらりと見て奥の方に入っていった。


翔真、私ね昨日セクハラ受けてね、
そうやって言いたいな。何してくれるんやろ翔真は、私に


注意？心配？


なんだか訳が分からなくなって泣きそうだった。



｢お邪魔します。どうも初めまして深山霧島です。しばらくお世話になります｣


等々お出ましだ。ニコニコと笑いながら深山霧島が頭を下げた。使用人のふたりが軽くよろしくお願いしますと言った。


私はお勤めのように深々く頭を下げた。
シャランっと頭の飾りが鳴る。やかましい。黙れ。


『お伺いしてます、こちらこそよろしくお願いします』


背後で翔真に吉乃さんが荷物を冷蔵庫に入れるように頼んでいた。そんなことばかり頭に入ってくる。


｢お綺麗ですね。前とはまた違う美しさだ｣


ピタリとその場の空気が凍った。おい馬鹿。わざとか？こいつそれ言ったら密会してたことがバレる。


｢え、Aと霧島会ったことあるん？｣


吉乃さんが驚いた顔で言ってくる。


｢いえ僕が前に見かけたことがあっただけです｣


何とか場をくぐって私は後ろを見るとこっちを横目で見てる翔真がいた。

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