茶 ページ25
呆然と這いつくばっていた体制から私はなんとか起き上がる。
暴れ回った時の傷が手足にも顔にも出来ていた。
膝から血が垂れていて、キリキリと痛む右頬をこすればべったりと血がついた。
口の中も血の味がして口端が切れていた。
カピカピに乾いた涙。
乱れた髪を手ぐしで直した。
腕を見れば確かに注射の後があって吐き気が込み上げてきてまたしゃがみこんだ。
『ぅ”え、』
嗚咽にまた涙が滲む。
あぁもう最悪だ。
布袋さんに殴られるか殴られないかで勝手に大不敗したのに、こんな守られ方したらもう
女のくせにって
女の癖に出しゃばるから
女のくせに
って言われても何も言えない
色んな意味で泣きたかった。
気持ち悪い。
シャブ漬けにされた拒否反応と色んな感情が混ざって吐き気が止まらなかった。
コツコツ
ローファーの音がして隣に人が来た気配がした。
あいつしかいなかった。
バカにされる。なんも言えないけど。
トントン
背中を優しく叩く手。
私は口をおさえたまま顔を上げた。
相変わらず無愛想な顔で傷だらけ。
それでも目はいつもより優しかった。
『…ぁりがとぅ…』
言葉の始まりも終わりもモゴモゴとした声で言ったのに翔真は、ん、。と一言返事をした。
・
ガラガラッ
私は何も考えずに灰皿を振り上げた布袋さんと翔真の間に入り込んだ。
ガッ!!!
鈍い音がして私の体を右側の靴箱に体をうちつけた。
とんでもない痛みに堪えながら私は顔を上げた。
いつも全く表情を変えない2人が全く同じ驚いた顔をして私を見下ろしていた。
たらりと血が私の顔を伝った。
『へへっ、やったぜ…』
私はそのまま白目を向いて泡を吹いて気絶した。
・
『血だらけの翔真の世話すんの何回目なんやろ』
「…なんやねんいきなり」
『私が血だらけになって世話されたのあの日が最初で最後だったなって』
あの日。と口出せば分かりやすく翔真が顔を顰めた。
「思い出させんなや…あの地獄…」
そう。私が血だらけで白目で泡を吹いたのを見て、同じく泡を吹きそうになった布袋さんと、そこまでして殴られたかったのかとドン引きした翔真。2人残された玄関。
その時の地獄は未だに消えずに翔馬にこびりついている。
この地獄の日は私が翔真に恋した、私からしたらこれ程にない日なんだけども。
170人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えすめ(プロフ) - 桔梗さん» コメントありがとうございます♡♡♡♡いやいや、神作者だなんて、ほんとに恐れ多いです(>_<)💦コメントほんとに励みになります!!どうかこれからもこの作品をよろしくお願いします! (1月18日 23時) (レス) id: b5181500a7 (このIDを非表示/違反報告)
えすめ(プロフ) - 姫華さん» 返信遅れてしまい申し訳ございません(>_<)コメントありがとうございます!ノロマでゆっくりゆっくりの更新ですがどうかよろしくお願いします! (1月18日 23時) (レス) id: b5181500a7 (このIDを非表示/違反報告)
えすめ(プロフ) - みさん» 返信遅れてしまい申し訳ございません(>_<)コメントありがとうございます。本当に励みになっております。これからもゆっくりではありますが更新しますのでよろしくお願いします (1月18日 23時) (レス) id: b5181500a7 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - 稀に見る神作者様だ、、、 (1月16日 12時) (レス) @page42 id: 941a02d5aa (このIDを非表示/違反報告)
姫華(プロフ) - 面白すぎます😭🩷更新頑張ってください! (12月6日 20時) (レス) id: d9923ab57a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えすめ | 作成日時:2022年1月16日 23時