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「なんかなあ、Aは普通の人とはちゃうなって思ったし。それに……」
そこまで言った時、どこからか吹いてきた風が、ゾムのフードを脱がせた。
目が合う。日のもとにあらわになったエメラルドグリーンの瞳。見ていると、なんだか不思議な気分になる。綺麗、その一言だけではとても勿体ない。
本来の私なら、もう既にゾムを「無礼だ」と罵っていた事だろう。彼の胸元のコサージュは、紛れもない『庶民』を表している。そんな彼が私に「友達になれ」など……。
本来なら、だ。
不思議なことに、ゾムを見ていると『そんなこと』どうでもよく感じられた。彼の瞳が、私の心を動かしているような感じがする。
「なにニヤニヤしてんねん」
「ふふ、なんでもない」
ずっと立っているのもあれなので、先程私が紅茶を飲んでいた場所まで戻る。そこに座り、色々な話をした。
彼と話しているときは着飾らなくていいので気楽だ。いつものように不慣れな口調で話さなくていい、無理して笑わなくてもいい。本当に、不思議な人だ。
この人も、いずれはヒロインに攻略される時が来るかもしれないと思うと、胸が痛くなる。
……『仕方がない』ことだけれど、でも＿＿＿
「なあなあ」
「!あ、何?」
ゾムが興味津々でこちらに差し出してきたのは、一冊の本。私が今日読もうと思っていたものだ。
「いつもこんなん読んでんの?
『白雪姫』」
「そうよ。……私の『憧れ』だもの」
あまりピンときていないゾムに、私は苦笑いをするしかなかった。
「でも＿＿＿」
きっと、それほど遠くない存在じゃないかと言うのだろう。庶民からしたら、姫も貴族も似たようなものじゃないかと。
「Aは動物に好かれてそうやったし、一緒やな」
ゾムはそう言って太陽のような笑みを浮かべた。
予想外の返答と、彼の眩しい笑顔に、私は目を奪われた。どう返したらいいか分からない。驚きと感動で、私の心は満ち溢れた。
「あ、そういや生徒会サボってたんやった。そろそろ行かんと」
立ち上がり、この場を去ろうとする彼の腕を、私は咄嗟に掴んだ。突然のことに、ゾムは目を見開いてこちらを見た。
「ありがとう、ゾム」
「!!おう」
照れくさそうに笑って、彼は校舎の方へと駆けて行った。
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駐車場 - いや、好き。。。もう好みとしか言いようがありません更新頑張ってください…！ (10月19日 19時) (
レス) @page23 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
月光ノワール - とっても面白くて夢中になって読めました!!更新楽しみにしてます！ (9月16日 7時) (レス) @page23 id: c0f063982b (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 面白すぎるぅ！更新待ってますね！ (2021年12月25日 20時) (レス) @page22 id: ea57108b5f (このIDを非表示/違反報告)
おちゃ - 更新待っています、、、めっちゃ面白かったです、、、 (2021年10月21日 15時) (レス) @page22 id: a34e3c6136 (このIDを非表示/違反報告)
時雨坂 - 更新めちゃくちゃ楽しみにしてます！ (2021年2月3日 21時) (レス) id: 38881abff7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カイロ | 作成日時：2020年4月23日 17時
