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「ふう……」
会場を後にすると、自然とため息が漏れた。絶えず注がれ続ける好奇の視線、そして先程の出来事から解放されたからだろうか。
どうやら私は、悪役令嬢役に向いているらしい。A・フェリシアーノとしての記憶が残っていたとはいえ、大勢の前で貴族として振る舞う自信がなかったので、上手くなりきれたようで安心した。
あの時、私は「悪役」令嬢である必要があったのだろうか？グルッペンがアスカの誘いを断った後、そのまま何事も立ち去ることも出来たのに、私はそうしなかった。わざわざ彼女を煽るような、辱めるような発言をした。
何がそうさせたのだろうか？私が、A・フェリシアーノが望んだこと？
「あー……こ、こちらにいらしたんですね、A……フェリシアーノ様……？」
「…………ゾム？」
振り返ると、拙い敬語を使い、少し気まずそうに目を泳がせたゾムが立っていた。普段はパーカーを着ている彼は、今日はパーティーにふさわしいようなカチッとしたタキシードに身を包んでいる。
今日は会えないと思っていた。そんな彼が今私の前に現れた嬉しさで、自然と笑みがこぼれた。
「あー……なんや、ご機嫌よろしゅうございます、か？」
「ふふ、ええ、よろしくてよ。まさかこんなところで、こんな素敵な方にお会い出来るとは思っていませんでしたわ」
「…………変やない？」
「とても素敵よ」
「……そか」
そう言って、彼ははにかんだ。なれない格好と話し方でぎこちなかったのも、次第に元に戻っていった。
「……なあ、A
俺と一曲、踊ってくれませんか」
「ええ、喜んで」
遠く離れた会場からかすかに聞こえてくる音楽に乗り、私たちは月明かりに照らされて踊った。
踊り方を知らないゾムだったが、彼のオリジナリティ溢れる踊り方が斬新で楽しかった。普段はしないようなステップを、そして音楽までも、全て彼が教えてくれた。最後には二人で歌って、息が切れるまで踊った。
それまでの出来事や、つまらない日常に過去、そして未来までも、全て忘れられるような気がした。
「ねえ、私、今とても楽しいわ」
「んふふ、そりゃよかった」
こんな夜が、いつまでも続けばいいのに。心からそう願った。
＿＿＿
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続く (更新停止中)
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駐車場 - いや、好き。。。もう好みとしか言いようがありません更新頑張ってください…！ (10月19日 19時) (
レス) @page23 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
月光ノワール - とっても面白くて夢中になって読めました!!更新楽しみにしてます！ (9月16日 7時) (レス) @page23 id: c0f063982b (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 面白すぎるぅ！更新待ってますね！ (2021年12月25日 20時) (レス) @page22 id: ea57108b5f (このIDを非表示/違反報告)
おちゃ - 更新待っています、、、めっちゃ面白かったです、、、 (2021年10月21日 15時) (レス) @page22 id: a34e3c6136 (このIDを非表示/違反報告)
時雨坂 - 更新めちゃくちゃ楽しみにしてます！ (2021年2月3日 21時) (レス) id: 38881abff7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カイロ | 作成日時：2020年4月23日 17時
