完璧主義者【d!】 (ページ8)

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私は人生で初めて物凄く冷たい視線を浴びている。先程風呂に入って温まっていたはずなのに、今は凍えている。

グルさんは部屋を見回し全員が集合しているのを確認した。ふむ、と一言呟いてから立ち上がった。

「諸君、こちらは今日から仲間になるAだ」

「よろしくお願いします」

全員が驚愕していたので、思わず語尾が小さくなってしまった。それぞれ不満の声を上げている。私がよくわかる、と頷きたくなった。

「なにわけわからんこと言っとんの。こいつはこないだ殺しに来てた奴やろ！」

赤いマフラー男が怒鳴る。ごもっともです、心の中でつぶやく。そう言えばこの人マフラーしてて暑くないのだろうか。

「そうやで！仲間言うたって信じられるわけないやん！」

サッカー青年が吠えた。不思議と犬に姿を重ねてしまった。声が大きすぎて耳を塞ぎたくなったが、やめておいた。

ぐるさんの方を見やると物凄い笑顔だった。この騒がしい空間でよくそんな笑顔で居られるものだ。思わず固唾を飲んだ。

「これは決まったことや。受け入れるように」

はい、自己紹介と言われ1人ずつ自己紹介していった。多すぎて覚えられない、というのが正直な感想だ。後々、頑張って覚えよう。『仲間』なのだから。

「初め、Aには俺の補佐をやってもらう」

その一言にまた空気がピシリと音を立て固まる。

流石に私も困惑する。この間まで自分の命を狙っていたやつを仲間にした挙句、補佐にまでするとは。グルさんに視線を向けると、意地悪な顔で笑った。

「心配ない。Aとは『契約』をしているからな」

「『任務』は絶対、だろう？」

その言葉に笑ってしまう。もう見抜いているんだ、私が『完璧主義者』であることを。

「もちろんだよ、グルさん

皆さん、驚いているとは思うけど、私はグルさんと契約をしてる。破ることは決してない。だから、私は仲間です、よろしく」

笑いかけながら言うことは出来なかったけど挨拶はした。彼らも先ほどよりは警戒を解いた。否、睨むのをやめただけだった。依然として圧を感じる。

それはともかく、私は一刻も早く『仲間』の意味を知る必要がある。そのためには信頼を得ないと。

そうして私の地獄の生活は幕を開けた。