完璧主義者【d!】 (ページ43)

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足元に拳銃が落ちている。デジャブを感じながらも、それを拾い上げる。

目線をあげると、b国の王族たちが並んでいた。

「あなたがしたいことをしなさい」

どこからか聞こえてくる声。聞き覚えのあるセリフで、以前も同じような夢を見たことを思い出す。

あの時は自分のしたいことが分からなかった。仕事が私の全てだった。

今は違う

拳銃を突きつけ、全員を打つ。マリネット姫は「間違ってる」と呟いた。

「それが本当にあなたがしたいこと?」

そう問いかける謎の声は微かに震えていた。

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頬が冷たい。涙が流れているようだ。手の甲で拭う。何故泣いているんだろう。

薬の匂いが鼻をかすめる。医務室へ運んでくれたようだ。腕や足には包帯が巻かれていて、赤く染ったパーカーも黒いパーカーに交換されていた。

起きたばかりでぼうっとしていると医務室の扉が静かに開いた。入ってきたのは書類の束を持ち、前が見えていないトントンだった。

「だ、大丈夫?トントン」

「ああ、大丈夫や、で…」

ドサッっと大きな音をたててトントンの手から書類が滑り落ちた。彼は書類には目もくれず、私のそばに駆け寄った。

「お、おまっ大丈夫なんか…?」

「私は大丈夫だけど、書類が…」

「あ、あああほんまや」

立ち上がって拾おうとすると止められる。そんなに酷い怪我はしていないのに。

全て拾い上げた書類を机の上に置き、落ち着いたトントンはベッドの近くに座った。

「b国の王族抹殺事件って、Aがやったんか」

「うん。知ってるんだ」

それからはそのことについて話した。何故そんなことをしたのか。トントンは頷きながら静かに聞いてくれた。

「そか…そうやったんやな」

トントンは眉を下げて微笑みながら私の頭を撫でた。心無しか目が潤んでいる。

そのあと彼は少し書類仕事をしてから医務室を後にした。

私が起きたのを聞いてか、色々な人が医務室を訪ねに来た。幹部だけでなく以前手合わせをした兵士まで様子を見に来てくれた。

しかしあの人だけは来なかった。

グルさんだけは、来なかった

私が完治して普通に生活するようになってからもグルさんと会話することは無かった。