完璧主義者【d!】 (ページ38)

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前をふらふらと頼りなく歩く大先生の後ろに続いて、狭い路地裏の道を進む。かすかな鉄の匂い、吹き抜ける風の冷たさ。こんな場所があったのか。

夜にこんな場所を歩くのは、確実に危ない。やはりゾムを連れてきて正解だった。ゾムは常に周りを警戒している。それは自分も、コネシマも、トン氏も同じ事だが。

「なあ大先生。これほんまにあっとるんか…?」

寒いのかマフラーに顔をうずめ、腕を組んで歩くトントンが不安そうに聞いた。

大先生は「たぶん…」と完全に自信を失っている。不安すぎる。彼は「ええっとぉ」なんて言いながら周りを見渡し、細い路地を進んでいく。確信を持って進んでいるのか、あてもなく進んでいるのかは謎だ。

今にも崩れそうな階段で地下へ、地下へと進んでいく。確かに怪しい科学者がいそうな雰囲気が漂っていた。

「ここや…」

少し錆びれた鉄の扉を前に、大先生は呟いた。

あまりにフラフラと歩くため、永遠にたどり着かないのではないかと心配していたので、ひとまず胸を撫で下ろす。

大先生は「くられ先生ー…」と声をかけながらドアを四回ノックした。

が、返事はなかった。留守なのだろうか。それとも…。

腕を組み、どうするか考えていると、ぽんと肩に手が置かれる。その手の主、ゾムは目を輝かせこちらを見ていた。

「なあ、やってもええ?」

やってもいいか、恐らく彼が大好きなドアを蹴り壊す行為のことだろう。人数的にもメンバー的にも大丈夫そうなので頷く。

ゾムはスキップしながら少し扉との距離をとり、ものすごいスピードで鉄の扉を蹴りつけた。

轟音と共に倒れたのはゾムだった。

地面に転がったまま脚をさするゾムを見て、コネシマは大笑いした。トン氏はやれやれと言いながら笑っていた。

それにしても厚い扉だ。ドアノブ捻るが案の定開かない。

「おらんのかもんなあ」

「やっぱり?」

トン氏と大先生がそう言って、全員が諦めたその時、扉の向こう側から「うつくん?」という男性の声が聞こえた。

「!そうです鬱ですー。ちょっとお聞きしたいことがあるんですけどもー」

「うーん…。悪いんだけど、中に入るのはうつくんだけでもいいかい?たくさんいるみたいだけど」

一人で大丈夫なのかと大先生に視線を送る。彼は静かに頷いた。

「ほな、行ってくるわ」