完璧主義者【d!】 (ページ30)

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柵に体重を預け、空を見上げる。することが無い、くられ先生の薬はもう出来ているだろうか。いや、まだ早いか。でも早くトントンを休ませないと、きっと倒れてしまうだろう。

建物の中では忙しなく人々が働いている。書類を運ぶ人、訓練場へ向かう人。それぞれ目的はあるが、全員暇なんてないようだ。仕事が山積みなのか、それとも真面目すぎるのか。

そんな人々を見ているとなんだか申し訳なくなる。書類仕事も、訓練も全て終わってしまったから私の仕事はないのだけれど。手伝おうにも書類それぞれの対処の仕方が違うため、逆に迷惑になってしまう。

「あっA!ﾁｯｽﾁｯｽ!」

振り向くと、そこにはフードで顔の隠れたゾムが立っていた。

彼は運動神経がよく、特に接近戦に長けている。我々の圧倒的な戦力だ。しかし、『食害』という行為で私たちに被害が及ぶこともしばしばである。私は少し、そんな彼に興味を持っている。

「何しとんの？」

「特に何も」

「なんやそれ」と言って少し変わった笑い声を出す。私も笑い返した後、話題を変える。

「私、ゾムに興味があるの」

そう言った瞬間彼は肩を揺らし、固まってしまった。かなり動揺しているようだ。それでも顔は見えない。

「お、俺に興味…？」

「そう。あのね私思ったんだけど、ゾムって殺し屋向いてるんじゃないかって」

「は？」

ゾムは再び固まった。しかし先程とは様子が違う。ピシリ、という効果音がぴったりの固まり方だ。数秒の後に、彼はため息をついた。

「それで俺に興味を」

「うん」

再び大きな息を吐き出して、「なんだよ…」と呟いた。僅かに見える口元からテンションが下がっているのが分かる。まあ、殺し屋に向いてると言われて喜ぶ人などいないというのが最もであるが。