完璧主義者【d!】 (ページ25)

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「今日も完璧や。お疲れ様」

午前中に書類を終わらせ、提出したところだ。大先生は終わっただろうか。

それにしてもトントンの目の下のクマが酷い。また寝れていないのか。本人に聞いても「大丈夫」と言うだけだ。

「トントン、子守歌でも膝枕でも腕枕でもなんでもしてあげるから寝てよ」

「いや、それ余計寝れないんだが…」

「…確かに音痴かもしれないけど」

「いやそうやなくて」

「確かに膝が硬いかもしれないけど」

「…もうええわ」

トントンは呆れたように笑った。どうしたらトントンに寝てもらえるだろうか。やはり睡眠薬か？チーノに頼めば貰えるだろうが…。

仕事を止めないトントンを横目に考える。彼が倒れてしまっては困るのだ。

「失礼するー」

ガチャりとドアを開けたのは書類の山を抱えた大先生だった。よろけながら室内に入ってくる。

「お前…。ノックぐらいせぇや」

「あっAちゃん！」

「聞け」

はぁ、と大きなため息をついて書類の山を見上げるトントン。こんな量をやらせてしまっては、本当に倒れてしまう。半分以上を取り、チェックを手伝う。彼は申し訳なさそうに「ありがとう」と呟いた。

大先生の書類をチェックする。よく見ると提出期限が過ぎている。よく堂々と持ってきたものだ。それにこんな量、どうやったら溜まるのだろうか。

「それにしても、大先生が書類出すなんて…。頭打ったんか？」

「失礼な！僕はできる人間だ！」

「毎日やってくれませんかねぇ」

トントンは何を企んでいるんだ、と言いたげな目を大先生に向けた。大先生は目を逸らし、煙草に手をかけた。

チェックし終わった書類を近くの机に置く。トントンは「ホンマに助かったわ、ありがとう」と言ってまた書類に目を移した。彼が心配だったが、大先生に呼ばれたので書記長室を後にした。

その後は街で大先生とデートをした。甘いものを食べたり、ブラブラ歩いたり、ゆっくりとした時間を過ごした。

そろそろ帰ろう、と言う雰囲気になった時口を開いた。

「大先生、ちょっと寄りたいところがあるんだけどいい？」

「ええで」

「ありがとう」

街の大通りから、路地裏へ進む。既に夕方であったからいつも以上に暗い。大先生は「大丈夫ここ…」と少し怯えている。

「堂々としてないと、絡まれちゃうよ」

後ろから小さな大先生の悲鳴が聞こえた。

路地裏のさらに奥へ進み、目的地に着いた。ボロくなった鉄の扉を開く。地下へ続く長い階段が、不気味な雰囲気を出していた。