完璧主義者【d!】 (ページ19)

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なんだか温かいな、と思いながら目を覚ます。起き上がろうとすると、肩が痛んだ。しばらくは動けそうにない。いたるところに包帯が丁寧に巻かれていた。誰がやってくれたのだろう、とても手先が器用な人だ。

首を動かして横を見ると、私の手を掴んで寝ているコネシマがいた。温かみの原因はこれか。ずっとここにいてくれたのだろうか。起こすのは申し訳ないから右手を極力動かさないようにする。

周りを見ると兵士たちが自分と同じようにベッドに横になっていた。彼らも包帯を巻かれている。こんなに怪我をさせてしまった。自分の無力さが可視化されたようだった。

それにしても体が動かせないと、暇だ。久しぶりに暇と感じた。最近は忙しない日々が続いていて、考え事をする時間はあまり無かった。

怒られるだろうか。兵士たちに怪我をさせた挙句、自分も怪我をして治療までさせてしまったのだ。それにコネシマを引き止めてしまった。契約破棄にしないで欲しい。もう少しここにいたい。

「A…？」

ネガティブ思考を遮ったのはコネシマだった。目を擦りながら、こちらを見ている。これから怒られることを覚悟した、その時

「よかった…」

コネシマは酷く安心した顔で笑ったのだ。私が予測した反応と真逆であったため、目を見開いてコネシマを見る。私の顔を見た彼は私の頭をそっと撫で、「みんな呼んでくる」と言って私のそばを離れようとした。

コネシマの手を握り、引き止める。急に止められた彼はよろけ、驚いた顔でこちらを見た。

「コネシマ、ありがとう」

「!…おう」

太陽のような輝いた笑顔を見せ、再び歩き出した。彼らしい、明るい笑顔だった。それに、初めに見せた『作られた』笑顔じゃない、『本物』の笑顔であった。

彼の笑顔を何度も思い出し、なんとも言えない気持ちになりながらしばらく待っていると、幹部達がやってきた。

私を囲んで、みんな安心した表情をしている。彼らのこんな顔、見たことがない。みんなを眺めているとグルさんがそばに寄ってきて、話し出した。

「みんなAに感謝しているゾ」

みんなが、私に？

呆然としていると、トントンが口を開いた。

「Aが兵士たちや俺らの怪我を未然に防いでくれたおかげで、いつもより怪我人が少ないんや」

それに、とショッピが続ける

「みんな『Aさんが』って言ってましたよ」

「A、お前は任務を『完璧』に遂行している。これからも頼んだゾ」

「はい!」

初めて心から笑えた気がした。