完璧主義者【d!】 (ページ16)

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私が依頼を受けてから、数日が経った。

私は毎日食器を洗い、書類を整理し、記入し、提出し、グルさんの書類を手伝い、中庭を訪れ、眠りにつくという日々を繰り返した。単調だが、それなりに充実した暮らし方だ。

毎日、幹部の誰かしらと関わりがあった。書類の質問や中庭での遭遇など。仲良くはなっていないが、警戒は少し解けた気がする。それだけで十分だ。

今日も何事もないようにと祈りながら食器を洗っていると、放送が入った。

「幹部は全員、総長室に集合するように」

機械を通し、より低くなったグルさんの声だ。幹部、ということは私は含まれていないのだろうか。最後の皿を洗い終わり、どうしようかと悩んでいると、共に食器を洗っていたショッピがこちらを見た。

「Aさんも行くんじゃないすかね。総統補佐だし」

そう言われなんだか嬉しくなる。『仲間』に近づいているような、そんな気がした。「行きましょう」と言われ、後を追いかけた。

総統室に着くともう既に集まっていた。重い扉を閉め終わるのをみたグルさんは口を開いた。

「m国にちょっかいをだそうと思う」

ちょっかい、戦争をするということだろうか。グルさんは楽しそうにしている。そうとう戦争が好きらしい。私が書類を手伝っていた時も、戦争の魅力を語っていたことがあった。

「それで、前線にゾムとコネシマ、そしてAを置きたい」

名前を呼ばれビクリとする。幹部達も驚いているようだ。私が参加するのか、それに前線で。

初めは納得していなかった幹部達だったが、実力を見たいのか賛成するものが出てきた。

確かに、前線は私の実力を発揮しやすいかもしれない。拳銃とナイフ、この二つはとても得意だ。グルさんの顔を見て頷く。

そんな全員の顔を見てグルさんは満足そうに微笑んだ。

そのあとは作戦会議が行われた。私はとにかく敵を倒せばいいらしい。少し楽しみだ。

明日に備えて寝ようと思い、部屋に向かう途中でゾムとコネシマに止められる。

「初めてやし、無理はすんなよ」

「時間稼ぎしてくれるだけでええから」

心配なのか警告なのかよく分からなかったが、素直に頷いた。

明日は足を引っ張らないようにしなければ。そして二人に、ほかの兵士に重傷を負わせないようにしなければ。

私個人の目標は、『誰にも大きな怪我をさせない』だ。特にあの二人に。彼らが倒れてしまえば軍の勢いは落ちるだろう。

ナイフを磨き、拳銃の弾数を確認する。鏡にうつった私は、笑っていた。