【HQ】プリンは理解に苦しむ

8. 寝顔 ページ8

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「藤井、起きて。藤井」




放課後、6時間目からずっと寝ていたままの藤井を起こそうと試みるも、小さく漏れる声と寝息が返ってくるだけで起きやしない


もうすぐテストなのに、なんて思いながら声をかけ続けること数分。反応すらなくなった藤井に少し腹が立った

部活に遅れるのは別にいいけど、藤井をこのままにしておく訳にもいかないし…あぁ、面倒くさい




「藤井、部活始まってるから…ねぇ、」




声をかけるだけじゃ起きないのは分かってる

けど、身体を揺すろうにも触れることに少し抵抗があった


もし触って、気持ち悪いだなんて思われてしまったら普通に傷つく。想像するだけで心が痛い

それでも、そうでもしないと起きないだろうと思い、意を決して 机に突っ伏して寝ている藤井の肩に そっと、優しく触れた




「ね、ねぇ、起きて藤井」




緊張して声が震えた

優しく揺らすだけじゃ起きなくて、藤井はまだ幸せそうに眠っている



少し、好奇心が芽生えた

規則正しく呼吸をする藤井の綺麗な前髪に触れる


白い肌に良く似合う真っ黒な髪
少し視線を下げれば長いまつげと赤みがかった頬
潤いのある薄いピンク色の小さな唇

…本当に、整った顔をしていると思う



ちょっとだけ、ほんの少しなら、触ってもいいかな


震える指で藤井の唇に触れようとした時




『……ん、あれ、孤爪くん…？』




藤井が起きた

素早く手を引っ込めたから、多分、バレてない




『私寝とった…やんな、今何時…』



「…もう部活始まってる、けど」



『えぇっ、ちょ、早く行かな！』




謝りながら俺の手首を掴んで体育館へと急ぐ藤井

その後ろ姿を見ながら、さっきのことを思い出す



“ 触れたい ” なんて、そんな変な思考

自分は変態だったのか、と自己嫌悪しつつ、藤井に触れたいと思ってしまった自分に疑問を持った



考えれば考える程、さっきの自分の行動が不可解で

前を走っている藤井がこっちを向きませんように

そう思いながら自分の熱い顔を腕で隠した





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