5. 呪文じゃない ページ5
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「……そんなに楽しい?」
『うん、楽しい!』
「そっか、」
ただの学校案内にキラキラした目を向ける藤井
本当、子どもみたい
“ 図書室が見たい ”という藤井の希望に答え、今は図書室にいる
ここは割と好き
静かだし、人の出入りが少ない
そうだ、ここでなら聞いてもいいかな
『……えっ無口やった理由?』
「うん、ちょっと、気になった」
『そうやなぁ…この関西弁がちょっとなぁ…』
「…聞かれたくなかったんだ?」
『まぁ、普通に考えたら浮くやろ』
藤井は方言を出さないように頑張っていた末、敬語しか使えなくなってしまい、そこから少しずつ口数が減って無口になったらしい
だから一気に人気がなくなったのか、と理解した
『“ 敬語じゃなくていいよ ”っていうのがしんどかった』
「…え、なんかごめん」
『ふふ、孤爪くんは気にせんとってーって言ってくれたから大丈夫やで。ありがとうなぁ』
「……うん」
いや、悪いことをしたのには変わりない
学校案内は案外すぐ終わり、藤井からお礼にとりんご味のアメをいくつかもらった
こんなにいらない
そういえば、テレビで大阪のおばあちゃんはアメを常備してるって聞いたことがあるけど…それなのかな
そうだったら少し面白い
ひとつ、アメを口の中に入れる
コロコロと転がせば口全体に広がるりんごの味
…アップルパイ食べたくなってきた
.
「研磨ァ!ちょっとこっち来い!至急!」
クロにそう言われて行けば、藤井がいた
「なに、」
「藤井チャンが何言ってるかわかんない」
「…は?」
藤井の方を見れば少し困ったような顔
『あ、いや…これってほってもいいやつですか?』
……あ、本当だ。何言ってるかわかんない
掘ってって何
そんなボトル持ちながら言われても何を掘るの
少し考えて、ハッとする
ボトルにはヒビが入っていて使い物にはなりそうにない
もしかして、
「…捨てる?」
『さ、さっきからそう言ってるじゃないですかぁ…』
「あ、あぁ…捨ててもいいかって聞いてたのね。てっきり呪文唱えられてるのかと思ったわ」
「…藤井、多分…ほる?っていうの、方言だよ」
『えっ』
どうやら藤井自身、方言を使っていることに気付いてなかったらしい
だからクロも藤井も伝わらないことに頭を抱えていたみたいだ
“ 標準語の勉強します ”
そう言った藤井の顔は曇っていた
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心幸 - 関西弁もおおてるし、何より面白い!更新まってま〜す!! (2月28日 13時) (レス) @page12 id: cd26d993ce (このIDを非表示/違反報告)
HQは私の嫁。 - やばぁ研磨の訛りめっちゃかわええわ〜( ^ω^ ) (2017年8月23日 22時) (レス) id: cfe7807358 (このIDを非表示/違反報告)
中原アリス(プロフ) - 続きが気になります……研磨可愛い…… (2017年8月19日 13時) (レス) id: aac9caa2de (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー好きな中一 - 続き早く読みたいよ!!!!次に更新するのいつぐらいなの!!?? (2017年8月15日 10時) (レス) id: 14a2b7e4da (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー好きな中一 - 研磨..........キャワイイYO!!マジで!! (2017年8月15日 10時) (レス) id: 14a2b7e4da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のぞみ | 作成日時:2017年7月22日 23時