《理想郷project始動》THE Tird project【作者達の好きな物まとめ】 (ページ36)

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その113by歌詞無ページ36

千亜希「美音ちゃん！」

美音「千亜希…ちゃん？」

明らかに様子がおかしい美音ちゃんを止める。

千亜希「殺意は何も生まないよ！残るのは悲しみだけ。」

私は知っている。殺意が残すのは…取り残された者の悲しみと人を殺めた罪悪感だけ。

美音「けど…！零ちゃんが…！」

千亜希「『目を鎮める』…。」

アザミさんに能力を貰って以来初めて使う。美音ちゃんの能力。

美音「千亜希ちゃ…ごめ…！」

泣き崩れてしまう美音ちゃん。

今日はジョースター家に泊まることになった。美音ちゃんも一緒だ。

梨花さんと神威は別室。梨花さんの怪我の手当を神威が任された。みんなが寝静まった深夜2時頃。
私はジョースター家の私達に用意された部屋の窓から飛び出した。木や家の上を飛び移りながら我が家を目指す。背中から出た黒いヘビで衝撃を吸収しながら。ゆっくりと。

家の中に入り、自室の引き出しの中を漁る。幼い頃にユーさんに貰った愛用のナイフ。血塗れで小さめの…しかしとても斬れる…質のいいナイフ。

おさげをほどき、服を着替える。

『千亜希ちゃんお誕生日おめでとー！』

『おめでとう…。千亜希ちゃん…。』

『ありがとう！美音ちゃん！零ちゃん！』

『プレゼントは手作りだよ！』

『どうぞ…。』

『手作り！？なんだろー？ヘアピン…？』

『千亜希ちゃん前髪伸ばしてるでしょ？ヘアピンあったら便利かなぁって！』

『気に入って…くれた…？』

『うん！すっごく嬉しい！ありがとう！』

思い出が沢山詰まったヘアピンをはずす。長い前髪が重力に従って降りる。
顔の左半分は前髪で隠れる。後ろ髪をまとめて、ナイフを足に着ける。

千亜希「…。ペンダント…。」

星がモチーフのペンダント…。ユーさんが…私を連れ去ったあと…初めて買ってくれたもの…。
ペンダントを外して机の上に置く。

家を出ようとした時…

「『殺意は何も生まない』んじゃなかったのか？」

千亜希「ユーさん…。」

次の話へ続く！