今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:5,257 hit
小｜中｜大
明日また逢えたなら ページ36
/.
さようなら。見飽きた文字列を舐めるように読みあげる。簡単な事じゃないけど、あなたを忘れるようにしなきゃ。揺れる床も、美味しくなかった朝ごはんも、花を吐いたことも、忘れなくちゃ。たくさんあるから。話せなかったこと、泣けなかったこと、たくさん心残りがあるから。冬が終わる。春が来る前に、記憶の中のあなたのすべてを、わたしのものにしたかった。
明日また逢えるかな、そうしたら、寂しい冬も、寂しい春も、埋め尽くして貰える気がした。未読のメール、未読の手紙、たまらなくなって、窓を開けて身を乗り出した。花束を抱えたあなたは、春の風に融けて行ってしまった。
明日逢えたら、私の全部、君にあげるから、ねえ、こっちきてよ、さよならを教えてよ！ 涙でぐちゃぐちゃにかき混ぜられた視界に、確かにあなたがいた。ほら、恋も愛もさよならも、ここにあるから、早くそれを、私に見えるようにして。あと１回、キスをしよう。
/明日また逢えたなら
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2016年7月28日 23時
