星の降る午後 /. (ページ31)

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すきなひとにページ31

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　どこへ行こうか。君の好きなところへ、嫌いなところへ、行って、笑ったり泣いたりしたことを思い出してみたいよ。景色の彩度が上がる瞬間を観てみたい。崩れる青空を観てみたい。君は黙って、特急列車の窓のブラインドを少し上げて外を見た。

　恋をしたんだ、思っていたより鮮明に、泳ぐように。君に。名前のわからない感情が僕を食べていくのが心地よかった。

　僕のことを裁いて欲しいと思った。そうやって、遠ざかる想い出も、その姿かたちも、音も、光も、声も、全部、君に焼き付けておきたかった。

　言葉にするまでもなかったんだ。わかっていたんだ。
　きみのことが好きです。
　さようならもおはようも、幾らでも重ねられるような人になりたいって、悲しいことを悲しいと言わない人になりたいって、君に逢って思ったんだ。きみのことが好きです。きみのことが好きです。
　ロックバンド、結露、温度計、イヤホン、ショートケーキ。メロウ、夜、水、ラジオ。僕の散々な手紙、切れ切れにでも読んでくれたなら、それ以上のことはありません。

/すきなひとに