星の降る午後 /. (ページ24)

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「いつか居なくなっちゃうんだね」

教科書みたいな君の言葉をききながら、僕は肩からかけたギターに添える手に力を込めた。送るよ、と無理矢理ついてきた電車の中。窓際の僕をビル群の灯りが照らす。夜。

何度思い返しても、君のことばかりだと気づいた。世界でひとりだけと解った。もう間に合わないことも。僕は君を見ないようにしながら、口を開く。

「そうだね。そして奏も」

出逢ったときにはもう間に合わなかった。僕らは初めから間に合わなかったんだ。ぎりぎりの線の内側で、死のように自然に僕らは生きてきたけど、もうわかったんだ。もう駄目なんだ。

不自然に涼しい夏の夜だった。電車の扉が音をたてて閉まり、僕と君を乗せて走って行く。滲んで消えてしまいたかった。消えてもおかしくなかった。さよならだ。

/夜の夢

(数学が間に合わないことも、)もうわかったんだ。