星の降る午後 /. (ページ18)

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　わたしの絵を描いてよ。余韻。指の包帯。君のために書いた歌を歌っている。

　もうすぐ夏が終わるね。きみがいなくなる冬がやってくるんだ。そのさなかでわたしは、さながら灰色のコンクリートになったみたいにじっと蹲っていなくちゃならない。きみが、楓くんが来てくれるまで。重たいかな？どうでもいいけど。ねえ、わたしの絵、描いてよ。さみしいの。

　月の上は今頃春でしょうか。さようならと一緒に乗り込んだバスが夕陽を蹴散らしていく。ガードレール。病室が良い具合に晴れ渡っていて、空を飛べそうな気がした。もう足も立たないのに。

「100年後もここで星を見ようね」
「もちろん」
「月はもうなくなってるかもしれないよね。どうやって楓くんに告白しようか」
「蠍座でいいよ」
「なにそれ」
「蠍座が綺麗ですねって言えば十分さ」

「楓くん」
「なに」

「昨日、ふうくんの夢を見たの。ほんとだよ」

「さようなら」
「さようなら」
「うそつき」

/なつがおわる

拝啓。背景。