＊トラ子のための妄想短編集＊ (ページ38)

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＊Kaito.Ma＊ページ38

松倉side

「みて！新しいギター買ったの！」

彼女のライブの後、

いつものように残って、彼女の元へ行くと

嬉しそうに青色のギターを見せてきた。

松倉「いいじゃん！似合うね！」

「ほんと？バイト代はたいて買ったの～」

松倉「あとさ、」

早く言いたいことがあってね。

松倉「髪切ったし、染めたんだね」

「うん、秋だからイメチェン」

黒髪ショートボブとか、可愛すぎる。

しかも、外ハネでしょ？

かわいい。

松倉「Aさんって、口説かれたりとかしない...の？？」

こんな綺麗な人、放っておくなんて、

もったいない。

「付き合ったのは、松倉くんが初めて」

付き合ったのは。っていうの、ちょっと気になる。

「ミュージシャン目指す人って、不思議な感性の人多くてさ～...」

松倉「ふーん」

「松倉くんはさ、共感できるんだよね」

松倉「俺もAさんの生き方とか、結構、共感できる」

つまり、俺とAさんは気が合うってことでOK？

松倉「今度、さ、どっかいきたいね」

「え、でも、バレたらまずくない？？」

松倉「...俺ん家とか.....」

別に変な意味じゃなくてね、

家なら、もうちょっとたくさん話したりできるかなぁって。

焦って弁解しようとすると、

俺が大好きな笑顔で、

少し照れたように

「じゃあ、おじゃましようかな...笑」

松倉「ほ、ほんと？」

「うん！ギターも聴いてみたいし！」

松倉「お、練習しなきゃだ...笑」

やばいやばい、報告しなきゃ。

「じゃあ、片付けしてくるね！」

松倉「俺も手伝うよ」

気遣ったつもりだったけど、

「あ、だめだめ。お客さんを手伝わせるなんて」

彼女はひとつ大人だった。

頑張って、彼女より上に行きたくて、

松倉「俺はAさんの彼氏だから、手伝うの」

ギターを持つ彼女の手を握って、

そう言った。

「...ありがとう！」

この笑顔が見れるなら、

たぶん、なんでも出来る気がする。

てか、やってみせる。

「松倉くんの家楽しみだな～」

松倉「綺麗にしとく」

「えー、そのまんまにしといて？笑」

松倉「いやいや、散らかってるもん」

「いいじゃん笑」

他愛のない話ができるようになったのも、

結構嬉しかったり。

彼女と出逢えたのは、

たぶん、いわゆる、奇跡ってやつなんだろうな、