＊トラ子のための妄想短編集＊ (ページ35)

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＊Genta.M＊ページ35

元太side

最初は出来心だった。

遊んでみたいなーって、。

「松田くん...」

元太「ん？」

「友達って、こんなことしないよね...」

今日は土曜日。

別に付き合ってもない女の子と、遊んでる。

ただそれだけ。

元太「こんなことって？」

「手」

俺が、クラスメイトの斎藤Aちゃんに声をかけたのはほんとうにたまたま。

ほかの女子に告られてる現場に

居合わせてしまった斎藤さんが俺を見る目は、

俺に告る女の子と同じ目をしていて。

この子もか...と若干落胆したのは事実。

「なんで...こんなことに...」

元太「斎藤さんは、俺のこと好きなんでしょ？」

「...だから、そうだけど」

元太「問題ないじゃん。」

「松田くん、こんな人だと思わなかった」

元太「こんな人って？」

「好きでもない人と手繋ぐなんて...」

俺のこと好きなのに、

この子は俺と手を繋ぐのを嫌がった。

好きなのに、嫌がられるって、

こっちはなんの気もないのに

追いかけたくなる。

これが本能か...。

元太「斎藤さんじゃなくて、下の名前で呼んでいい？」

「それは、ご自由に...」

元太「Aは？」

「え？」

元太「俺のことなんて呼ぶの？」

「松田くん」

元太「はぁ？」

俺が下の名前で、

しかも呼び捨てするのに、

なんで元太じゃないんだよ。

「松田くんでいい？」

元太「絶対下の名前で呼ばせる」

「えー...笑」

今日、俺と話す時に見せた初めての笑顔。

遊びのつもりが、

いままで存在すらも微妙だった女の子に

火をつけられる日がくるとは。

「松田くん笑」

元太「もーいいよそれで」

「よし」

元太「なんのよしなの？笑」

「なんか、照れくさいじゃん！友達だとしても笑」

元太「へー」

なんだよ、

意外と一緒にいると楽しいじゃん。

元太「俺の本性知って、嫌いになった？」

「...？？」

元太「だから、女子に対してめんどくさいって思ってるのとか」

「...嫌いになんかならないよ」

元太「あっそ」

「聞いといてそれ？？笑」

なんか調子狂う。

やべぇな、。

これが恋ってことで、

いいのかな。