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A視点
吾が居る場所の向かい側から武田が歩いてくる。
そして家康の前で立ち止まった。
家康「気づいてないのか？お前はもう死んでる」
…？アホか？アホなのか彼奴は。
家康「生きてる者に譲らないとなぁ…道は」
悪意が込められた言葉。
さてはて、武田はどう出るか…だな。
…あまり彼奴に無理はしてほしくないものだが。
武田は悔しそうに顔を歪め、家康の為に道を開けた。
家康は満足気にその場を後にした。
怒りに満ちた表情をする武田は、まっすぐ此方へ歩いてくる。
黒田「武田」
声を掛けられ、振り向かずに足を止める。
黒田「お前このまま、終わる気か？」
武田は何も答えず、ただ強く拳を握ってまた歩き出した。
『…そなた、手を見せろ』
武田「居たのかよ」
一瞬肩を跳ねさせたが、すぐさま冷静に武田は言った。
『手を見せろと吾は申したんだ』
武田「…わーったよ」
ゆっくりと開くその手は痛々しい傷になって血がダラダラと出ていた。
『少しやり過ぎだぞ』
武田「うるせぇ」
セーラーのポケットから大きめの絆創膏と包帯を取り出し、手際よく処置を施していく。
武田「…てめぇ、何で俺に構うんだよ」
『何がだ？』
武田「聞いてたんだろ、俺はもう死んでんだ」
こやつも馬鹿げた事を言うのか…。
処置が終わった武田の掌を、思いっきり振りかぶって叩く。
武田「ってぇな！？」
『人は皆、心臓を握り潰されでもしない限り生き続ける。精神が死ぬ事もあるだろうが、精神なんぞ身体が生き続ければ再生されるからな』
武田「だからっててめぇ、叩く必要あったかよ！？」
『痛みを感じていると言うことは生きていると言うことだろう？死んでいれば、痛みなど感じない。触る事すら出来ぬのだからな』
武田の手はしっかり暖かい。
それにあの表情、死んでいる者には出来ぬ表情だ。
武田「…てめぇ馬鹿だな」
『たわけなのはそなただろう？何を当たり前の事言わせた』
武田「握り潰されねぇ限り身体が生きるのは当たり前なんだよ俺別にそんな事聞きたかった訳じゃねぇよ」
『…じゃあ、何だ？』
そう吾が質問をするとクソデカ溜息をついた。
おいどういう事だ。
武田「てめぇはそういや頭悪ぃんだったな。やめだやめ！」
『は？おい最後まで話を…』
吾が言い切る前に武田は何処かへ行ってしもうた。
『吾は頭わるぅないぞ…』
手元に残った紙くずや包帯と去った方向を交互に見つつ、誰も居らぬ階段に独り言だけ響いていった。
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さら - このお話も凄く大好きです！！上杉くん推しにして欲しいです！！上杉くんのお話少ないで！！いつも更新楽しみにしてます！！ (2022年9月7日 0時) (
レス) @page11 id: f9b4a84be1 (このIDを非表示/違反報告)
琉闇(プロフ) - 可愛い、！！夢主ちゃん可愛い！神だぁ、 (2022年8月29日 5時) (レス) @page22 id: e6fba14b0d (このIDを非表示/違反報告)
ふゆう - とっても面白いです！ (2022年8月24日 7時) (レス) @page10 id: 34f774734d (このIDを非表示/違反報告)
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