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六十六話 ページ18
袮々切丸side
門をくぐると光に包まれ、
次に目を開けば そこはもう私達の神域だった。
あの本丸はもう何処にもない。
「ったく、遅いから様子を見に行ったらあれだ。誰にも見つかるなって言ったろ？」
「まぁまぁ 瀬登太刀、袮々切丸だっていろいろあるさ。」
後ろで二振りの話し声が聞こえる。
きっと私のことだ。
私は未だに門の前に立ったまま。
もう開いても あの本丸に繋がることのない門を見つめる。
なんだか、寂しいな。
別れ というのは。
だが、
「これで良かったんだ。これで。」
「……。馬鹿、無理してんじゃねぇよ」
「辛いんだろう？」
「……。」
「泣き喚いても良いぜ、今回だけ許してやる。」
「ほら、おいで。」
「っ〜〜！」
私は柏太刀の胸に飛び込む。
私をしっかりと抱きとめ、
その優しい腕ですっぽりと包み込んでくれた。
瀬登太刀も頭を撫でてくれる。
どうして、どうして、こんなにも優しいのだろう。
馬鹿だ。こんな私の為に、尽くすなんて。
「…うっ…ぅぁ…、ひっ…ぅ、…っ…」
涙が溢れて止まらない。
もっと一緒にいたかった。
皆と離れたくなかった。
だけど、それを決めたのは紛れもない この私。
後悔はしていない。
だけど、ただただ悲しくて、寂しかった。
「お帰り、袮々切丸。」
．
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作者名：駿河 | 作成日時：2017年12月16日 14時
