純愛スクランブル【Taiga.K】 (ページ44)

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文化祭の準備終わりに用具の片付けで、前Aと授業をサボった人気のない階段を通った。

屋上とかでサボれたら良かったんだけどなぁなんて思いつつも、案外このバレるかバレないかっていうスリルが楽しかったりするからいいけど。

用具運ぶのあっという間だな。
戻ってもまだ片付け途中だろうし、時間稼いで戻ろうなんてずるい事考える。

Aはもう帰ったかな。
遠回りになるけど1組の前通れば良かった。

前にメッセージだけ送った時、連絡に気付かず帰っていたからあえて電話をかけてみると

「え」

…絶対に近くから電話の音が鳴った。

「…A？いるの？」

声をかけても返事は無し。

もしかして、たまたま同じタイミングで近くにいる人の電話が鳴っただけかも、なんて思いつつも階段を少し上がると、そこには1人ぽつんと座るAの姿があった。

「た、大我、」

「びっくりした……何してんの」

驚いているのはお互い様らしい。
いや、そりゃそうだ。

向こうからしても俺がここに来るなんて思わないだろうし、こっちからしても今このタイミングでAがここに居るなんて思ってもいなかった。

「…いや、なんでも、ない…たまたまいただけ」

よく見たらAは泣いていた。
正確に言うと、泣いたであろう目の赤さと、また今すぐにでも泣き出しそうな声色。

「A。隣、行ってもいい？」

「うん」