純愛スクランブル【Taiga.K】 (ページ39)

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「そういえば、はるとなんか喋ってた？」

「ううん。ドアの所ですれ違ったくらい。」

嘘だけど。
かと言って話したという程の内容でもないしな。

「そっか。
ごめんね、私たちがこんな感じのせいではるとも話しにくいよね。」

「いや、そんな事は一切ないよ。なんなら元から話さないしね。」

ぶっちゃけ嫌われてるしね、なんて流石にAが気まずすぎるだろうから言えないけど。

Aが気遣う羽目になるんだから、工藤もAの事が大切ならその辺の立ち回りとかもう少し考えたらいいのに。

できる事なら工藤にそれを伝えて、Aを楽にさせてあげたいけど、そもそも工藤は何を考えているのか分からない奴だし、深く関与しない方がいい。

なんなら今更話したくもないし。

何も言わない。

「すぐ買い物終わったね」

「ね。貸して、持つよ」

「いや、全然平気だよ(笑)ありがとう」

格好付けたかったけど惜しくも失敗。
あんまりこういうことしすぎるのも狙ってるみたいで格好悪いかな。

こういうのスマートにできたらかっこいいと思われるのかな。
樹とかはスマートなんだろうな、こういう時も。

「文化祭楽しみだね」

「そうだね」

文化祭。
そうだ、もう1週間切ってるんだ。

本当は一緒に回りたい、けど文化祭一緒に回ろうなんて誘おうもんならこの気持ちはバレるに決まっている。

いくら鈍感なAでも、付き合ってもない異性から2人で回ろうと誘われたら気付くだろ。

……この際告白するべき？

いや、もし振られる事を考えると文化祭の楽しい思い出が台無し。

俺はまだしも、Aからしたら俺は仲の良い異性の友達であって、そんな奴を振るなんてまあ精神的にくるだろう。

Aの楽しい学校行事をぶち壊したくない。

ただでさえ親友との喧嘩中だし。

「大我？」

「ん、え何。なんか言ってた？」

「えー、聞いてなかったの」

「超ぼーっとしてた、何？」

「何でもなーい」

「なんだそれ」

斜め前を歩くAは口を尖らせてムスッとした表情。
可愛い。

生憎両手が塞がっているけど、片手が空いていたらその膨らんだ頬を潰してやりたい。

「一緒に行ってくれてありがとう」

「こちらこそ。頑張ろうね」

「うん、頑張ろうー」

1組の教室の前でAと別れ、8組に向かった。