純愛スクランブル【Taiga.K】 (ページ38)

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「え、いや流石に女子に行かせられないし他の奴連れて行くよ」

「あー…その事なんだけど、たまたま8組の友達も買い出し行くみたいでさ…一緒に行く？みたいな…」

初めて見る奴。
まぁ、これだけクラスも離れていたら当たり前か。

Aが少し気まずそうに確認を取っているのを教室のドアの所から見ていると、その上田くんという人が視線を俺に向けた。

「A、あの人？」

「う、うん」

「クソイケメンじゃねえか、彼氏か！？」

「いや違う！」

「え、Aちゃん彼氏できたの！？」

「まじ？って京本くんなの？！」

否定するAを他所にクラスの奴らは大盛り上がり。
幸い教室にいるのは10人くらいだけど。

人の彼氏事情ってそんなに面白いのか。

「お似合い〜」

「美男美女」

なんて褒められたり、いじられてるAを見てお気の毒だと思う反面、少し顔を赤らめてるのが可愛かった。

気まずいけどここから居なくなるのも逆に気まずくて、聞こえないフリをしてそっと廊下に視線を落としていると、気付けば目の前に工藤がいた。

「お似合いだってさ」

「…どーも。」

「ムカつく」

そう言い捨てて廊下に出て行った工藤。

目は決して笑っていなかったけど、口元は薄ら笑っていて。

手には赤のペンキが入ったバケツがあって、なんだか不気味だった。

「お待たせ！」

「買い出し行くって？」

「うん、めちゃくちゃいじられた。(笑)」

「ちょっと見てた。(笑)」

「教室の前でイチャイチャすんな！早く行け！」

上田くんからの野次に、

「ちょっと話してただけなのにね？！」

「ね。(笑)」

なんて文句を垂らして2人で近所のホームセンターに向かった。