純愛スクランブル【Taiga.K】 (ページ14)

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「ねぇ、なんであの日声掛けてくれたの？」

あの日、というのは初めて会った日の事だろう。

俺にとってはAと初めて出会った日という事もあってその日は特別。
どんな時間にどんなシチュエーションで、Aを初めて見た時の胸のざわめきまで覚えている。

そんな些細な日の事をAも覚えてくれていると思うとすごく嬉しい。

「ぼっちそうだったから」

素直に伝えるのも気持ち悪いし、あえて意地悪な事を言うと

「え、何。可哀想だと思ってわざわざ声掛けてくれたの？」

と、案の定こうやって驚いたような、半場不貞腐れたような顔をする。
あまり付き合いは長くないけど、Aはこういう時本当に分かりやすい反応をするから本当に面白い。

・

「本当ごめん…」

「いや、仕方ないよ。」

「ううん、家に来る前に親に確認しておくべきだったから」

今こうなっている理由は遡ること数分前。

Aの家に上がって、親御さんへの挨拶の方が先だろと思いつつも、このびちょ濡れの状態で家を徘徊する方が非常識だと思い先にシャワーを借りた。

「おわっ、びっくりした」

シャワーを終え、運良くカバンに入っていた体操着を着て脱衣所から出るとAが目の前に座っていた。

「ずっと待ってたの？」

「うん」

「ごめんお待たせ、シャワーありがとう」

「シャンプーとか言わなかったけど分かった？」

「うん、大丈夫」

なんか付き合いたてのカップルみたいでちょっといいな。
とりあえず親御さんに挨拶しないと。

「A、」

「大我くんごめん…」

「え、なに？」

「お母さん今日夜勤だった…お父さんは単身赴任だからいなくて、その…車で送ってあげるとか言ってたのにごめん…」

急に謝られて、何だと思いながらAの顔を見ると申し訳なさそうに眉を八の字にしてしょんぼりしていた。

「あー、全然大丈夫。てかシャワーまで借りてそんな迷惑かけられないわ(笑)

タクシーで帰ろう……あ」

「うん？どうしたの？」

しまった。
今日は学校に財布を忘れてきて、カラオケだって慎太郎達に奢ってもらったんだ。