12 ページ12
*
「ねぇ、きょも聞いてる？」
「ん、ん？何、なんだっけ」
「だーかーらー！…まあいいや、何ぼーっと見つめてたの？」
「あの子、可愛いなって思って」
入学して1週間。
初めて見かけたこげ茶色の長い髪をゆるく巻いた、色の白い美人さん。
「俺の話聞かずに女の子に見惚れてたってわけー？」
「だってすごい可愛いよ、見て」
「あら美人さんじゃない」
慎太郎も公認の美人。
あの靴は1年生。同い年か。
「話しかけたら？」
「いやいいよ、友達といるでしょどうせ」
「友達になっておけばいいじゃん。」
「いやー…」
「ねぇ！」
「ちょ、慎太郎」
バカなのか。
急に話しかけたらビックリするだろうし、何よりこんなのただのナンパ。
これが俺とAの出会い。
それからというもの、特に接点が増えた訳では無いけど
「あ、大我」
「うわビックリした」
「移動教室？」
「うん」
「そうなんだ、行ってらっしゃい〜」
廊下ですれ違えばこういうコミュニケーションを取るようになったり、全校集会の入退場の時に目が合えば軽く手を振ったり。
「きょも誰に手振ってんの？」
「友達」
「待って、絶対女子じゃん！」
「いやまぁそうだけど」
「いつの間に他のクラスの女子と仲良くなってんのさ！ちょっとどの子？」
「樹には絶対教えない(笑)」
樹を始め、ちょっとずつクラスの奴ら何人かにもからかわれるようになったりもした。
別にそういうの気にしないけど、ただ俺は好きなんて一言も言ってないのになーとか思ったり。
まぁ、あながち間違いではないんだけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 785人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まいやん(プロフ) - 更新お疲れ様です！いつも楽しみに読ませていただいています！これからもご自身のペースで頑張ってください！ (2022年8月8日 17時) (
レス) id: 9a00c406d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴぇ | 作成日時：2022年8月1日 19時
