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「あ、で!29日どうする?」
「29日?」
「飲み!29日やねん。
望の知らん人も何人か来るけど、1人は絶対おもろい奴やし絶対仲良くなれるで!
俺も2人は知らん人やし」
知らん人もおんのか。
照史先輩達には会いたいけど、知らん人がそんな何人もおる感じやったらいまいち気乗りせえへんな。
よりによって29日なんかい。
というか
「俺お酒飲まれへんもん」
「流星は飲まれへんけど来る言ってんで?ジュースでええやん」
「まじ?」
「おん、まじ」
流星も行くなら…
まぁ、ええか。
それに何時までおるかわからんけど、なんとか粘って日付変わる瞬間は皆にお祝いしてもらおう。
そう思うといい気してきたわ。
「行くわ」
「OKやで!ほな伝えとくわ」
バイトも上がって、濱ちゃんのバイクの後ろに乗って送って貰うのがシフト被った時のルーティン。
やっぱ免許ええなぁ
お金貯めなあかんなー。
「ありがとう濱ちゃん」
「ほなまたなー」
手を振って濱ちゃんが見えなくなるまで見届ける。
横を見るともう行き慣れたコインランドリー。
今はこれ見るだけでも憂鬱やわ。
「はぁ…」
佐藤さんに会いたいようで会いたくない。
昨晩やって、ほんまに声がちょっと似てただけやねん。
…違ったらほんま失礼やな。
部屋やって隣かどうか分からへんし
なんせ俺の部屋と空き室を抜いて6分の1の確率やし。
…やっぱり大毅ってやつが彼氏なんやろうか。
だいたい、声でかいねん。
こんなアパートやで?普通は声抑えるやん。
壁薄いに決まってるやん。
大迷惑や、また今度同じ事があったらクレーム入れたる。大家さんに連絡や。
気付けば部屋に向かっていて階段を上がっとった。
すると、今1番会いたくない人の姿が。
なんでこの人がこんな所におるん?
「すんません」
「…っす」
律儀に軽く会釈をして、狭い階段で俺を避け、軽やかに降りていく大毅という男。
なんでここにおるん。
もうだいたい検討は付いとるけど。
「はは…」
俺はなんてタイミングが悪い男なんや。
なかなか会えへんかった上に、行為中の声まで聞いてもうて、今日は相手にまで遭遇してしまうなんて。
「ほんま、ついてへん」
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作者名:ぴぇ | 作成日時:2022年7月6日 18時