88話 ページ39
*
｢え…｣
まるで俺から逃げるようにいなくなってしまったA。
おつかいならコンビニでできるんじゃないの……？
混乱中の俺には対照的に
｢あー行っちゃったね｣
と、呑気な樹。
思えば、閉会式の前。
日陰で座っている時に樹とAと目が合った。
あの時、絶対Aは樹に何か言われてた。
様子がおかしい。
帰りも目合わせてくれなかったし
何より今、間違いなく避けられてた。
｢ねぇ樹絶対Aになんか話したしょ｣
絶対そうだ。それ以外ありえない。
だんまりは許されないからな、という気持ちで樹を睨みつける。
｢ごめんきょも、先に謝っておく。｣
｢なにこわい、なに！？｣
｢きょも、いいかもしれない話と悪いかもしれない話…どっち先に聞く？｣
｢いや怖すぎるよ｣
正直どっちも聞きたくない、怖すぎる。
なんでどっちも かもしれない なの？！
別れ話、聞いたとか？
そういうのじゃないよね？
流石にそんな話聞いたら俺立ち直れないけど。
ましてや樹経由で。
｢話と聞かないって言う選択肢はないからね、俺的にこれは言わないとだから｣
｢……ちなみに何系の話？｣
｢どっちもA｣
｢じゃ、じゃあいいかもしれない方……｣
樹はわざとらしくゴクリと喉を鳴らした。
変な緊張感。
｢Aヤ るの嫌じゃないらしいよ｣
｢ぶっ！！｣
｢きょも汚っ！｣
予想外の話しすぎて、さっき買って飲んでいた飲み物を吹き出してしまった。
｢ゴホッ、ごめっ｣
いや、なんで？
なんで知ってるの？
本人から聞いたの？
聞きたいことがこの時点で山々だけど、まだ話はあるから…
悪いかも、しれない方を聞いてから
聞くことにしよう。
というかA、嫌じゃないんだ…？
｢きょもニヤけてるよ｣
｢うるさい、次話せよ｣
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hinata - すごく面白いです 更新楽しみにしてます (2021年5月29日 16時) (
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作者名：ぴぇ | 作成日時：2021年5月29日 15時
