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70話 ページ22

*



「…楽しかった?」


「うん、すごい楽しかった〜」



映画に夢中のAは、俺の質問にも上の空のような返事。

なんやそれ、昨日からずっとおらんかったのに寂しいやん。


「ふーん」


わかりやすく拗ねたふり
そうすると


「なにさ〜?のんちゃん寂しかったんでしょ」


と、Aの意識は一気に映画から俺や。
Aはずっとこうやから。

俺が拗ねたら絶対に相手にしてくれるし、逆もそう。


お互い本当に拗ねてないって言うのも、多分わかってる。






中学の頃、周りより成長が早く、容姿もよく褒められていた俺はモデルになることを決めた。
同時に大阪から東京への引越しも決めた。


もちろん中学生の子供1人で行く訳にもいかず、話し合いの結果、東京に住む父の弟家族にお世話になることになった。

私立の中学校へ入学した。



最初こそ、周りのモデルより幼い俺に仕事は全く無く、友達と遊んだり部活に入ってサッカーばっかりしていた。


中2の中盤、急激に成長してモデルの仕事が山のように入ってくるようになった。

卒業まで、続けた部活も3年生にもなればほぼ幽霊部員。


友達も最初よりだいぶ減った。


当時はまだまだガキで、モデルの仕事は好きだったけど、遊べない事が嫌で
仕事がストレスに感じることもたくさんあった。

当時なんて言っても、3年前くらいの話なんやけど。笑





そんな俺の唯一の癒しはAやった。



俺の従兄弟にあたる、A。
大阪に住んでいた頃は、年に数回会うか会わないかくらいで、特別仲が良いわけでもなかった。


初めは急に一緒に住む事に戸惑っていたけど、そんなの一瞬やった。


毎日のんちゃんのんちゃんって、緊張している俺に沢山話しかけてくれて、とにかく優しくしてくれた。


A曰く、弟か妹が欲しかったらしい。
俺からしたら小さいAはずっと妹みたいやと思っていたけど、Aからしたら俺は弟やった。笑





中学の頃、放課後遊ぶほど仲良い友達がいないと言うAはほぼ毎日家にいた。

Aは1人でいる時は疲れている顔をしていた。



それがなんとなく放っておけなくて、部活がない時は家にいるようにした。

モデルの仕事が増えても、仕事がない時はなるべく家にいた。

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hinata - すごく面白いです 更新楽しみにしてます (2021年5月29日 16時) (レス) id: ad3093d701 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴぇ | 作成日時:2021年5月29日 15時

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